第64話 狼娘のアルバイト
最近、狼娘が出かけている時が多い。
ミントが来たから、遠慮しているのか。
そう思うこともあるけど、単に気まぐれなのかもしれない。
元々狼娘とは、一緒に住んでいるというより遊びに来ているという感覚だ。
餌付けをした野良猫みたいな関係。
「そのうち、なんか食わせろとやってくるだろう」
そんなことを思っていた頃。
狼娘は、別の行動をしていた。
「それじゃ、パーティに参加する条件は赤龍亭でなんでも食べ放題チケットを3枚で」
「了解したぞ」
狼娘の戦力を考えると安い物だ。
ただ、本気になった狼娘がどのくらい食べるのか。
ちょっと不安はあるけど、狼娘がパーティに入ってくれるのは嬉しい。
狼娘の本来の姿は巨大魔狼。
B級冒険者パーティでも闘えるレベルだ。
だから、狼娘がパーティに入ってくれるとB級依頼であっても余裕でこなせるようになる。
「今回は依頼はリザードン。ここから5キロくらい先の川沿いで見かけた村民が連絡してきた」
リザードンは2足歩行ができるトカゲで大きな物は3メートルにもなる、B級魔物の一種。
群れを組むことも多く、B級パーティでないと危険が多すぎる。
ただし、危険があってもB級依頼を受けたいC級女剣士にとってぜひ達成したい依頼のひとつだ。
「今回は私も含めて3名のC級冒険者が参加する。あと、この娘もバーティ参加することになった」
「ちょっと待ってくださいよ。どうして幼女が参加するんですか?」
狼娘は見た目は5歳くらいの幼女だから、他のC級冒険者からすると、さすがに一緒に連れていくのか不安に思うのが当然だ。
「それではこの娘が使えるかどうか試験してみます?」
「おい、そんな娘を試験なんかしたら、ケガしても知らないぞ」
近くにあったモップを剣がわりに構える。
狼娘は、ジャンプして空中で前転をする。
すると、狼娘の本来の姿の5mにもなる巨大魔狼に変身する。
「うわっああああーー」
「試験はどうなりました?」
「降参、降参。戦うなんて、絶対無理」
どう考えも巨大な狼なんて相手にはできない。
大きな咆哮でさらにひびって、戦意喪失してしまった。
翌日。
狼娘を追加したC級パーティ。
リザードンの目撃情報があった地点が近づいて行った。
「こっちだぞ」
狼娘が鼻を引くつかせて、右の方向を指示しだす。
野生の力で、遠くにいる敵を感じ取ることができるのだ。
「ほら、あそこ。いるわ」
最初に狼娘が発見して、指を指す。
そこにいたリザードンは、報告より数が多くて、全部で7頭いた。
「それじゃ、いくわよ」
「はいな」
女剣士を声を掛けると狼娘は巨大魔狼に戻って、リザードンに襲い掛かる。
3人の冒険者がやっと1頭を仕留めている間に、残りの6頭を倒していた。
「圧倒的ね」
リザードンの革はファッション小物や革鎧なも使える高級素材。
C級冒険者達は、リザードンを一体づつ革をはぎ、素材化していく。
肉も人気で、高く売れる。捨てる所はそれほどない。
「まぁ、まずは、この肉、味見してみます?」
「わーい。焼いて焼いて」
狼娘の性格は分かりやいから、女剣士は喜ばせるのがうまい。
次もまた、B級の依頼を達成するための貴重な戦力なのだ。
「どんどん食べてくださいね」
冒険者達も食べるが狼娘は巨大魔狼になってがっつくから食べる量が半端ない。
結局、ひとりで1頭分くらい食べて横になってしまう。
美味かったらしい。
これで女剣士が達成したB級依頼は2つ目になった。




