第62話 ミントちゃんとの新居を造ろう
目の前にある小さな小屋。
当然、ミントとふたりで暮らすことができないことはない。
だけど、どうせなら、かわいい新居にしたいな。
《イメージ進化設計:住宅創造》
ベースは、一番多く作っている2階建ての住宅だ。
セラミックプレートに記録されている。
ただし、ディテールはミントに似合うようなかわいい感じに進化させる。
色調も純白を主体にして、ミント色の淡いグリーンを指し色に使ってみる。
「すごいわ。お家が生えてきた」
柱が伸びていく様をみて、ミントが表現する。
初めてこれを見た人は大抵びっくりする。
「2時間くらいでおうちができるよ。あっちの小屋でお茶を飲みながら待っていよう」
「魔法使いさんだったんですね」
「そうだよ。土からなんでも作れる土魔法使いさ」
「こんなすごい魔法を使えるのなら、A級魔法使いかしら」
「S級くらいかな」
さすがにSSS級は説明しづらいから、実在するS級ということにした。
美少女に褒められると意味なくうれしいな。
小さな小屋に入ると「私がお茶、淹れますね」と言う。
小さなキッチンでお茶を淹れてくれる。
イチゴジャム入りの紅茶だ。
「おいしく淹れられたかしら」
「うん。おいしいよ」
なにげない会話。
また、ひとりじゃなくなった。
それがすごくうれしい。
「これからよろしくお願いします。ご主人様」
「こちらこそ、よろしくね。ミントちゃん」
いろいろと揃えないとな。
ティーカップも、もっとかわいいのがいいかな。
ポットとセットで買ってこよう。
「そういえば、さっきのケガした男の子、大丈夫なのかしら」
「うーん。あそこに住んでいる人がポーションは買えないだろうから、傷ぐすりの薬草くらいか」
「助けてあげること、できませんか?」
「それなら、ミントがポーション、届けてあげたらいい」
「いいんですか?」
あの傷なら初級ポーションでも効果を発揮してくれるだろう。
棚から1本ポーションを取り出して、ミントに渡す。
「もう1本、駄目ですか?」
「いいけど。必要かな」
「なんか、もう1人、ケガしている人、いる気がするんです」
「そうなの?」
「いなかったら、持ち帰りますから」
「じゃあ、もう1本」
不思議なこと言うなぁ。
初級ポーションなら買い置きもあるからいいけどね。
「奥にある四角くて大きい建物に住んでいるはずだから。そこにいる人に聞けば、どの部屋かはわかるはずだから」
「はい」
「ミントからだと言って、手渡してきなさい」
「えっ、ご主人様から、では?」
「助けてあげたいと言ったのはミントだろう」
これからは、団地の住人と関わりができるかもしれないし。
引っ越し挨拶みたいなものかな。
あそこには子供が多いし、ミントと同じくらいの年の子も一杯いるから、友達もできるだろう。
「それじゃ行ってきます」
「いっておいで」
ポーションを2本、両手で胸にしっかり持って、パタパタと走っていく。
そんな姿を見ていると、恋人というより親戚の子供を預かった気分かも。
でも、一緒にいるだけで安らぐから、確かに最高の天使だ。
ミントの走っていく姿を見て、そう思っていた。
今日の最後のアップです。
楽しく書いています。楽しく読んでもらえたらうれしいです。
そして、ブクマや評価してもらえると、喜びます。
錬金畑の小説に、こっちの主人公の話が出てきた。舞台は一緒なんです。こっちが帝国で、あっちが王国。
それぞれの国の関係に影響を与えるようになる予定なんです。
『錬金畑は恋もアイテムも大豊作!スローライフを楽しんでいます』
https://ncode.syosetu.com/n4493er/




