第57話 女のための決闘
「ほら、剣を取れ!」
「なんのために?」
決闘は本来は貴族の間で行われる物。
お互いの名誉をかけた闘いだ。
あとは冒険者同士でも起きる。
ただし、その場合は腕試し的な意味に変わる。
「もし、この決闘にお前が負けたら、奴隷としてお前を売る」
「奴隷ですか」
「お前の好きな女と同じ境遇になれるんだ。文句はあるまい」
「・・・わかりました」
肉体労働で鍛えた身体。
身体能力的には、こいつの方が上だろう。
「ただし、私は魔法を封印する。この剣だけで闘う」
「剣だけ、ですか?」
可能性を感じたのだろう。
顔をあげて、私のことを値踏みするようにみる。
「そして。もしお前が勝つことになったら、この金貨をやろう」
「えっ。こんなに!」
「ミモザを返品して返ってきたお金だ」
「ミモザの・・・・」
どんな思いでその金を見ているんだろう。
愛する女の価値を示す金貨の量。
「さてはじめるか。こいつが仲介人をする」
剣を一本、投げ渡した。
奴は、しっかりと構えて決闘を受けることを示した。
「いくぞ」
それが一時間前の話。
今、ひとりの男が地面に倒れている。
私だ。
決闘に使った剣がセラミック製で刃はついていない木剣と同じもの。
斬られることはない。
ただし、当たれば打撃が来る。
何度も剣が当たり、動けなくなった。
決闘は私の負けだ。
「勝てるはずがないだろ、おまえ」
「そう言うなって」
「魔法を使うお前は我にも勝てる。しかし、魔法を使わないお前は子供にも負ける」
分かっていた。
ただ、どうしてもけじめがつけたかった。
「でも、おまえ。いい奴だな」
「強い男が好きだったんじゃないのか?」
「おまえは強いさ」
狼娘は飛び上がってくるりと廻る。
巨大魔狼に戻る。
動けない私を守るように暖かい毛皮でくるんでくれる。
今日は、ここで夜を明かすのもいいかもしれない。
あの家に帰る気がしないしな。
一緒に過ごしたあの家には。
今日の10話目。今日はこれでおしまいです。
そして、第二章「婚約破棄から奴隷を経由して幸せな結婚へ至る道」完結です。ミモザ編は終わりです。
明日からは、第三章「天使と天使が出会うと起きること」が始まります。
もうひとつ、お知らせ。
新連載始めました。笑・・・いいかげんにせい、と我ながら思います。
タイトルは、『異世界チート食堂 ~ここの料理はスキルをSSS級にしちゃいます~』
まぁ、タイトルで分かるように、僕のも含めてSSS級の小説をパロってます。
https://ncode.syosetu.com/n4656eu/
よかったら読んでやってください。
今日は1日、楽しく書きまくっていました。楽しく読んでいただけていたら、うれしいです。
ブクマしてくれるともっと喜びます。




