第52話 冒険のお誘い
「あなた、私と一緒に依頼を受けなさい」
街を歩いていると、いきなりそんなことを言われてしまった。
誰だ?と思って顔を確認すると。
「あ、C級女剣士!あまり成績が伸びていないって言ってた」
「なにそれ。どうせ、あいつが余計なこと言ったんでしょうけど」
それからひとしきり、リーダーの悪口を言う。
こういう人と一緒にいると運気が落ちる気がするんだよね。
そうそうに退散しておこう。
「すみません。これからちょっと用事がありまして・・・」
「何言ってんのよ。あんた探すので、ずいぶんと時間使っているのよ、私は」
別にそんなこと頼んでいないし。
だいたい、こっちは会いたいなんて思ってないし。
「依頼って、冒険ギルドの、ですね」
「そうよ。リーダーには協力したのに、私にはできないと言うの?」
できません。
運気が悪くなりそうな人は近づかないと決めているので。
なんて言えたらいいな。
だけど、怒るだろうなぁ。
「いいから、明日、青石の採取依頼を一緒にやりなさいよ」
青石?それって、昔、祭祀の舞台づくりに使われたという、あれ?
そんな依頼あったんだ。
「ふふ、今、興味を持ったわね。わかるねわよ。そう、青石よ。土魔法使いなら、これだけは外せない依頼だと思ったのよ」
「あー。青石。土の魔素が濃いと言われる石ですよね」
土魔法の知識の中に、ちょっと出てきた。
青石は、土魔法使いにとって、聖なる石。
どんな使い方ができるのかは、詳しく知らないけど。
「そうよ。その青石。その青石がたくさんある場所が特定されていて、そこから採取してくるようにと貴族の人が要望出したのよ」
いかん。興味をもってしまった。
こういうずうずうしい女は大の苦手だから、近づかない方が無難。
だけど・・・青石かぁ。
「その依頼は本来B級パーティの向け依頼なのよ」
「あ、それなら、リーダーと・・・」
「あいつらは駄目よ。私がもう依頼受けてしまったんだから」
あー、この人、無茶するなぁ。
C級のくせして自分だけで解決できもしない依頼を受けてしまうのか。
「あんたとなら、私とふたりでも余裕で達成できるのよ。そして、私はB級への道が一歩前進するのよ」
私には、そんなの関係ないし。
ふたりでなんて、襲われそうで怖い。
魔物より、あなたにね。
だけど、押しの強い女の要望を断ることができれば、人生もっと楽に生きられたはず。
だから、また押し切られてしまった。
「明日1日だけですよ、付き合えるのは」
「わーい、やったぁ」
いままで怖い顔していたのに、急に笑顔になった。
笑うと可愛くなるじゃないか。
あ。別に好きになった訳じゃないよ。
ただの付き合いだから。
そこんとこ、勘違いしないでよ。
誰に言っているのは分からないけど、心の中でそう言った。
ふう。今日の5話目、残り5話です。
一杯アップしちゃうから、と思って、バリバリ書いています。
楽しく書いているので、楽しく読んでもらえると嬉しいです。
ブクマと評価もうれしいです。よろしくっ。




