第42話 3日に一度のご依頼物件
「ここに建てればいいんですね」
すでに更地になっている土地がある。
街の南にある8街区でこのあたりは中級の市民が家を建てている。
なんとか大きい家にしようと敷地一杯まで建ててしまうから庭がなくごちゃごちゃした雰囲気だ。
今回の依頼は20坪で総2階建ての家。
真四角の家だから、作りやすいタイプ。
敷地の形がちゃんとした四角だからまともな設計が使える。
これが三角形だったりすると、設計をかえてオリジナルにしないといけなくなる。
もっとも、土魔法を使うから設計を変えるのもそれほど大変ではないが。
この依頼はリーダーが持ってきた物件。
リーダーが言うには、3日に一軒までは大工ギルド長と話して了解をもらっているとのこと。
「私の報酬は金貨70枚ですよ」
「ああ。大丈夫だ。すでにちゃんともらってきているよ」
なら、いいか。
面倒な交渉はリーダーまかせにするのに限る。
《設計:構築》
基本的な設計は、他の家を分析してセラミック板に記録をしてある。
細かい要望はリーダーが聞いて伝えてくれた。
それに基づいて設計を行い構築する。
一連の土魔法として、一発で完成させてしまおう。
土魔法を唱えると、土の中から家が構成されていく。
柱が立ち上がって、家の骨組みができる。
その後、壁ができて、屋根がのる。
もう、慣れてきて、雑談しながらでもできる。
「何度みても不思議ね」
「そうかい。ミモザが一緒だと仕事も楽しいな」
「私も一緒にいられるのがうれしい」
リーダーは一緒にいるが、施主さんはここにはいない。
だから、仕事場にも女を連れてきても問題はない。
ミモザとラブラブしているうちに、やがて家はできあがる。
家の形になるまで約1時間。余裕だね。
「できました。はい、金貨70枚ください」
うーん。3日に一軒。1か月10軒。
今の月収金貨は700枚か。
金貨1枚がだいたい10万円程度だから、現在の価値にすると月収7000万円にもなる。
普通の貴族よりずっと高給取りだったりする。
「ね。午後は一緒にお買い物いきましょう」
「そうだな。ちょうどお金も入ったしな」
いきなりお金持ちになると、ついつい余計な買い物をしてしまうもの。
あぶく銭は身につかずってことわざがあるようにどこの世界でもそれは一緒らしい。
だけど、そんなのは関係ない。
ミモザが喜ぶからいいのさ。
気楽な仕事を終えて、ミモザと一緒に街歩き。
きっと楽しいひとときになるはずだ。
狼娘は今日はひとりで街の外に狩り出かけた。
たまには狩りをしないと身体がなまるらしい。
今日はミモザとふたりでデート。
楽しいな。




