第4話 壁ができました
「これで1万5千個です。頼んだ分はコレで足りますよね。因みに一塊千個です」
「ひーふーみー……た、たしかに。それだけあるな。しかし、どうやって?」
「これ、僕が積んでいいですか」
「僕がって・・・できるのか?」
「はい。いきますよ」
レンガの塊とセメントに対して命令を打ち込む。
ひとつひとつのレンガには、命令が書き込まれ、レンガ自身がどの箇所に収まるべきなのかを理解している。
レンガとセメントは相互に指示を出しながら、収まるべき場所に移動してセメントで固定していく。
同時にすべてのレンガとセメントが動ぎ出して、みるみるうちに段が増えていく。
言われた高さ分積みあがるのに要した時間は約15分。
最後にセメントに命令して強制的に水和反応を起こし、完全に硬化させる。
本来は20人の職人が一日かけて積む作業量だ
「なんだ? これ」
あまりのことにパニクっている隊長。
「土魔法です」
「おい。土魔法といってもこんなことできるなんて聞いたことないぞ」
「まぁ、土魔法は人気ないですから。しっかりと習得している魔法使いがほとんどいなくて」
「そうなのか。レベルがあがるとこんなことができてしまうのか?」
それでも工事責任者だから、できあがりには細心の注意をする。
積みあがった部分を確認して不良なところがないか隅から隅まで壁に耳を当て打診して確認する。
「どうですか?隊長」
「完璧だ。これだけ積むとなると不良個所がいくつも出ておかしくないんだが」
「不良個所あります?」
「全くない。それも、何処から見ても寸分の違いも見つけられない。完璧だ」
まぁ、土魔法で命令しているから、当然そうなるのだ。
人間が積むのと違ってレンガが命令されて連携して決められた形になる。
それぞれが他のレンガとの距離を相当細かく調整しているのだ。
「ところでだ。あと、半分を10日間で積み上げる予定なんだが。それもやれるのか?」
「はい。日が暮れるころにはできているはずです」
「やってくれる?」
こうして、軍団と土魔法使いによる最初の工事はなされた。
砦のレンガ壁の一部。
単純な積み上げだから、特に問題なくできた。
百人隊が二週間以上かけて完成させる予定が土魔法使いひとりが1日で完成させたのだ。
百人力、いやいや千人力といったところだね
今書いている新作は、実はレンガ屋さんのお話です。
やたらとレンガ積んでいます。
ただ、土魔法が使えないのでひとつひとつ手で積みます。
↓これ。
【外れスキル『予報』が進化したら神級スキル『言ったら実現』って凶悪すぎるんですけど】
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