第33話 ハネムーンは馬車で
本当はやりたいことが山積みだ。
スラム地区の地盤強化もしたいし、新居もあちこち作り込みたい。
すぐできると思って提案したスラム住人達の団地もまだ手がついていない。
だけど。
今は、ハネムーンが優先だ。
「ミモザ、揺れは大丈夫かい」
「はい。でも、ちょっと気持ちが・・・」
「それは大変だ。こうしていると少しはいいかい」
ミモザを抱きかかえて頭をなでてあげる。
「いい気持ち。このままがいいな」
「うん、僕もこのままがいいな」
「俺たちはムカついているんですけど」
ミモザといちゃついていたら、B級冒険者パーティのメンバーが文句を言ってくる。
「まぁまぁ。無理言ってついてきてもらったんだし。このあたりは大目にみてやってよ」
「リーダーはいいですよ。家に帰ればかわいい奥さんが待っているんだから」
「そうそう。独り身の俺たちは寂しいですよ」
そう言って文句は言っているけど、こんな笑っている。
リーダーと仲の良いメンバーふたり、計3人の遠征だ。
楽しそうに話をしている。
「そろそろ、半分くらいは来たな。明日の夜には村につく」
「ありがとうございます」
村の危機を伝えた若者と私とミモザ、冒険者の3人。あと御者で総勢7名。
だけど、そんなの関係ないと、ミモザといちゃいちゃしている。
さっさと魔狼を退治して、田園リゾートでハネムーンするぞ。
「それで作戦なんだけどさ」
「えー、そんなのついてからでいいじゃないですかぁ」
「そういうなって。ちょっとだけだからさ。ミモザさん、ちょっとこの男、借りるよ」
「えー、いやだぁ。邪魔しないでぇ」
「あのさ。バカカップルごっこ楽しいのも分かるけどさ。真面目に聞いてよ」
「仕方ないな」
作戦の話をちゃんとする。
魔狼は目撃されている数だけでも10数頭。
もしかしたら、もっといるかもしれない。
魔狼自体は、C級モンスターだから、B級冒険者から一対一で負けることはない。
ただ、集団で襲われると、集団戦が得意な魔狼は危険な敵になる。
「だから、魔狼を分断することができたら、勝てる戦いになる」
本当のことを言うと、メンバー全員で当たれば勝てる戦いだ。
でも3名だから、不利な戦いになる。
「土魔法を使うと、敵を分断することは可能だろうか」
「もちろん、できます。ちゃんと策は作ってあるから大丈夫です」
みんなに、魔狼の群れの戦い方を説明した。




