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第309話 街がおかしな方向へ行き始めたみたい

きっと多くの冒険者が集まってくるに違いない。


1カ月前はダンジョン街領主の僕はそう考えた。

でも、それ甘かった!


「オーナー! とても宿泊所が足りません」


胸の大きな街長が悲鳴をあげている。

その度に僕は土魔法で宿泊所をはじめいろいろな設備を作っていく。


いくら新ダンジョンがあるからと言って、そんなに人が集まってくるなんて。

僕の想像を超えてしまった。


一番集まってきたのが、なんと農民!


元の街の周りの農民は土魔法で強化した畑を持っているから、収獲が多くてお金持ちが多い。

だけど、その使い道があまり用意されていない。


冒険者なら良い装備を買ったりするけど、農民だと装備はいらないし。

ちょっといい農具を買ったり、家を大きくしたりするけど、それでもお金が余っている。


そのお金の使い道として、ダンジョン街が選ばれたのだ。


お店の賃料無料にしちゃったから、おいしい料理のお店が増えたし。

宿代は無料だからお得だし。


その上、エンターテーメント性重視のギャンブル場。

最近はリングを作って、賭けバトル、なんてこともしている。

これは冒険者達のリクエストなんだけどね。


温泉はあるし、娼館もできたし。


娼館は別に作る気がなかったんだけど、お金がある冒険者がうろうろしている街には、勝手に娼婦さんが集まってくる。

最初は無視していたんだけど、トラブルが増えてきて、娼婦の自由営業は禁止するしかなかった。


その代わり娼館を作ってちゃんとルールを守らせることに。


男天国な街にダンジョン街は変わってしまった。


「へぇ、そうなるのか」


男天国になると、女向けのお店も増えた。

服屋、アクセサリー屋等々。


ギャンブルで儲けた男がかっこつけて女に高い物を買う。

そのためにはおしゃれで高級品を扱うお店がいるらしい。


あっちの店から支店を出すことがたくさん増えた。


そうなると、貴族さんもお忍びで遊びに来たりする。


だから、街の外だけどプールも作った。


貴族さんは水がある所でパーティを望むらしい。

プールと別荘みたいな宿と。


そんなセットがあると、喜んでパーティをしてくれる。


あ、貴族さんには有料でプール付き邸宅を貸している。

貴族さんは金持ちだから、ちょっとくらいはいいかなと。


「そんなに安くていいのか?」


よく言われるから、貴族としては安いんだろうなー。


そんなことをしていたら、貴族さん向けダンジョンツアーみたいなのが流行り出した。


レベルの高い冒険者が貴族さんをダンジョンにつれていくサービス。

貴族さんはダンジョンに潜らなきゃいけない理由はないんだけど、好奇心旺盛なのね。



農民は来るは、貴族さんは来るは、もちろん冒険者も商人も。

いろんな人が集まってきて、あっという間に街がせまくて仕方なくなった。


「さすがに1か月で新しい街を作るなんて」


街長さんがびっくりしているから説明した。


「新しい街と言っても、別の街じゃなくて、街の横に円形のもうひとつの街を作るんです」


今度の円形の街は直径が3倍の300メートルにする。

それだと9倍の広さになる。


もしかしたら、それも狭くなるかもしれないけど。

1年くらいは持って欲しいな。


そんな計画を街長さんに話して了解してもらった。

と言っても、領主は僕だから、決定権は僕にあるんだけどね。


ただ、あまりにがんばりすぎたから疲れたぞー。

新街部分を作る前に休暇を取るぞー。

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