第305話 街に戻ったら事態が進行していた
「ただいまです」
「おー、戻ったか。意外に時間掛かったな」
「ええ。なかなか大変でした」
「そうだろう。なんと言ってもダンジョンタウンを作る準備だからな」
「ええ」
さて、どうやって切り出そうかな。
人員的に随分と必要となるんだよね。
人を募集するのは、街長さんが主体になってもらうことが前提のダンジョンタウンだしな。
「君には悪いが、状況が変わってな」
「どういうことでしょう?」
「とにかく早く、ダンジョンを攻略するための拠点を完成させてほしいのだが」
「えっ、なぜです?」
「実はダンジョン調査をしている先行隊から連絡があってな」
街長さんによると、新しくみつかったダンジョンが珍しいタイプらしい。
1階層と2階層はよくある洞窟型のダンジョンで、遭遇する魔物もよくいるものでD級冒険者のパーティなら対応が可能だ。
問題は3階層で、今、調査が終わっているのが3階層までだ。
「3階層がなんと、海だったのだ」
「えっ、海? 地底湖とかじゃなくて?」
ダンジョンは地下に潜っていく構造なはずだ。
地上から下へ1階層、2階層と。3階層はその下だから、大分深い階層になる。
「あー、君はダンジョンのことは良く知らないのだったな」
「はい。冒険者ではないのでダンジョンに潜ったこともないですし」
元々、街から一番近いダンジョンでは馬車で10日掛かる距離だった。
興味はあったが、実際にダンジョンに行くまでは考えていなかった。
「冒険者なら知っているが、ダンジョンというのは別の時空に存在しているものなのだ」
地上から地下に向かうのがダンジョンだから、洞窟型、もしくは、大きなホールのような広場がある。
普通はそう考えるもの。
しかし、ダンジョンに入ると地下に行く訳ではなく、別時空に飛ばされるというのが本当のところ。
だから、そこはどんな地形になっているかは、入ってみないと分からないのだ。
新しいダンジョンでは、3階層になると海の地形になるらしい。
太陽光も感じられる場所。
「街から海までは相当遠いからな。ダンジョンに海があるとなると、いろいろと海関連の採取ができるし、海に生息する魔物を倒して素材ゲットもできる」
「それはすごいですね」
「だから、多くの冒険者パーティが新ダンジョンで活動することにしている」
「すると、新しいダンジョンタウンが重要になってくるということですか?」
「その通りだ」
おー、僕の作ったダンジョンタウンは重要度が増したようだ。
ダンジョンタウンを完成したのに、誰も来てくれないという悲劇は起きないだろう。
「では、できるだけ早くダンジョンタウンを始動しないといけませんね」
「最短でいつになる?」
「えっ、本気で急ぐなら明日にでも」
あれ? 反応がない。
明日の朝にでも、最低必要な資材と人員を馬列車に載せれば、始動は可能だ。
もちろん、細かい対応はいっぱい残っているけどね。
予定より早く、ダンジョンタウンが始動するようです。
完全に見切指導な気がしますが。
僕も書き溜めがなくなったので、1日3話更新が難しくなってきた。
その場対応でいきましょう。
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