第3話 レンガ作りだけではないんですが
「できますよ。この3つの山、使ってもいいですか?」
「もちろん。レンガにしてみてくれよ」
「はいな」
今度は同時進行で3つの山に土魔法をかけてみた。
まずは土が移動して3つの山が混ざり合わさり、平な板状に形を変える。
その平らな板に切れ目が入り、レンガサイズになる。
レンガ内の水分を抜く収縮と硬化の為の焼きの手順が加わり、レンガが完成した。
そのままだと扱いづらいので、自動的に移動して、1mくらいに積みあがってレンガの塊になる。
「できました」
だいたい3分ほど。
ひとつの山が5000個くらいのレンガに変わったので、三山。全部で1万五千個。
普通なら何日もかかる作業だ。
レンガ職人さん達は目が点になっている。
土堀りのおっさんは予想していたみたいで、
「土魔法って便利なものだな」
「そうなんですよ。レンガ作るくらいしかできないって悪口言われるんですけど、レンガ作り魔法も便利ですよね」
今度は、レンガ職人の親方と土堀りおっさんを連れて百人隊長のとこに行く。
「レンガできました」
「おいおい。まだ30分も経っていないだろ。ちょっと手伝ったくらいで偉そうに言うな」
「でも、頼まれてた分は終わりだって」
後ろにレンガの親方と土堀りおっさんがいるのに気付いた。
「お前らも、何さぼっているんだ」
「いや、この青年が手伝ってくれたから終わりました」
「何言っているんだ?」
隊長さん、頭が堅いなぁ。
まぁ、いいや。ちゃんと最後まで仕事をしよう。
「作ったレンガはそこに積むんですよね。接着剤はそれですね」
「ああ。今日はどれだけ積めるか積んでみて明日以降のペースを決める予定だ」
うん。1万5千個レンガがあるからボクの目測だとちょっと余るかな。
「まずは、レンガ持ってきますね」
実はすでにレンガは近くまで移動させてある。
遠隔で指示をだして、レンガを持ってくる。
「うわっ、なんだ。レンガが動いているぞ」
レンガがひと塊となって移動してくる。
ひとつの塊に千個のレンガ。全部で15の塊が移動してきた。