第292話 孤児達が勉強するために必要な物は?
「来週から孤児院で学校を始めます」
聖女さんが連絡してくれた。最初は10歳から12歳のクラスからはじめるという。
「学校が始まるなら、文房具が要りますね」
「そうですね。あるといいですね」
小学生向けの文房具か。何がいるんだろう。
まずは、鉛筆とノートと消しゴムかな。筆箱も欲しいな。
三角定規って必要なのかな。
コンパスとかも。僕が子供の頃はいつも無くしていたな。
必要になったとき探しても見つからないから、母親に怒られたっけ。
三角定規はどうか分からないから、普通の定規だけ作っておこうかな。
長さの単位は転生前と同じらしく㎝を使えばいいらしいから定規はガラスで作ればいいか。
あ、ハサミは要りそうだな。ノリはどうだろう。
土魔法で作ったことがないのは、ノートと鉛筆だな。
紙は植物が原料だから土魔法では扱えない。
だけど、ちゃんと研究しておいたんだ。
ストーンペーパー。
転生前にエコとかの話でストーンペーパーの話は聞いたことがある。
石灰が原料だったはず。
紙みたいな感じに石灰を薄くしていけばいいのか。
おっ、できたじゃないか。
厚さも普通の紙と同じになった。
しなやかに曲がるぞ。
うんいい感じ。
このストーンペーパーを束ねてノートにする。
サイズはB5くらいにして。
うん、完璧。
でも、筆記具がないと使いやすいかどうか分からないな。
鉛筆を作らないと。
鉛筆の芯は黒鉛だから炭素だろう。
どこかに天然黒鉛があると聞くけど探すのが大変だからパスして、
黒土から不要な成分を抜いて黒鉛にしてしまおう。
芯の形に製形してみる。
鉛筆の軸は、木で作るのが本当だけど、土魔法じゃ作れない。
木に近い感じを陶器で作ってしまおう。
原料は石灰を中心に他の土を混ぜてみて、軽石みたいに気泡をたくさんいれて軽くする。
これならナイフで簡単に削れるよな。
あとは、芯の周りに発泡陶器で周りを囲って軸にして完成。
これで鉛筆とノートが出来た。
後は消しゴムだけど、シリコンゴムでいいよね。
これは簡単。
筆箱もセラミックで作って完成。
簡単だな。
もちろん、筆箱の蓋は蝶番にして開くようにして、磁石でくっつくようにしておく。
なんか小学生の頃を思い出すな。
定規はガラスで作って正確に目盛りをつける。
1㎝単位と1㎜単位につければいい。
ハサミはセラミック製。うん、簡単だ。
コツは刃のかみ合わせだね。
しっかりとかみ合わせをつけておくと、すぱっと紙が切ることができる。
あ、鉛筆削りもいるか。ぐるぐる回るあれでいいか。
削り刃は固めに作ったセラミック。鉛筆の軸より強いから刃が欠けたりしないよね。
これで小学生文具セットは完成した。
ノートが1人3冊で鉛筆は5本にした。全部で80セット作ってみた。
さっそく明日、孤児達に配ってみよう。喜んでくれるかな。