第282話 土魔法でバーベキュー機材を作ってみた
「ここはな。こうやって解体するぞ」
私の作った巨大な刃渡り120センチという、セラミック製の巨大解体包丁を使って白狼娘が肉の解体を始めた。
セラミック製の子供サイズ解体ナイフは、全部で30本ほど作ってある。
白狼娘がある程度の大きさに切り分けた肉を子供たちがさらに解体している。
石で囲われた竈の中には炭が入っている。
ふいごを使って火がついた炭の炎を調整する。
そこに、セラミック串にささったでかい肉をタレのツボに一度浸して乗せる。
じゅわーーー。
「「「うまそぉーーー」」」
子供たちが歓声をあげる。
肉はなんだかんだいって高級品。
孤児院だとほとんどでたことがないんだろう。
うちには、1週間分くらいの肉をすぐに調達する白狼娘がいるからな。
いくらでも、肉三昧できるな。
「やっぱり、牛肉が一番おいしい」
「鶏肉もおいしいわ。特にこれ、ニンニクバター醤油のタレ」
タレもいろいろと用意してある。
どれが人気になるか分からないからな。
「こんなおいしい物食べられるなんて」
「うん。院長先生ありがとう」
なんか純粋な瞳で見られるとちょっと照れるな。
子供達を使って肉屋でもはじめるか。
白狼娘が獲物調達係で。
周りの家から「お肉の御用はありませんか」とか言ってオーダーをもらって。
それも面白いかもしれないな。
それと、屋台だな。
子供でも13才くらいになれば屋台の店番くらいできるだろう。
これだけうまいバーベキューができるんだ。
売り物にだってなるだろう。
「誰か、こんな串焼きを屋台で売ってみたい人」
「はい! 私っ。絶対、私っ」
13歳くらいの女の子が手を上げる。
串焼きを全部で4本も持っている。
あれ2本で一食分はあるぞ。
そんなに欲張らなくてもいいと思うが。
とにかく肉好きっていう13歳の女の子、マリン。
彼女をリーダーとして、串焼き露店を実際に始めることにした。
そうでもしないと、こんなに沢山の解体した肉。
食べきれないと思うから。
そんな話をマリンにしたら、
「駄目。この肉は、タレに漬けて明日から私達のご飯になるの」
あれ、そうなのか。
露店で売るのは、白狼娘にまた狩ってきてもらう。
そんな約束をすでに子供たちは白狼娘としているらしい。
他の女の子は、タレの話をメイドさんに聞いている。
タレを改良してもっとおいしくするつもりらしい。
まぁ、子供たちがやることが増えるのはいいことだ。
うまい肉にもありつけるしね。