第280話 孤児院『スマイルホーム』に孤児達がやってきた
今日は出来上がった孤児院『スマイルホーム』に子供たちを連れてくる日。
喜んでくれるのかな。
「うわー、すごい。僕の部屋だぁ」
「いえ、あなたの部屋じゃないですよ。他にも3人、一緒に住む子供がいますから」
「だけど、ここは僕らの部屋なんだよ。すごいぞー」
彼は12歳だけど冒険者をしている男の子。
前から白い鎧を借りにきているから、顔見知りだった。
「あれ? 前の孤児院ではあなたの部屋って、なかったんですか?」
「広い部屋にみんなで寝てたよ。ここの倍くらいの部屋だと15人くらい寝るんだ」
個室が当たり前の日本とは違うだよな。
それにしても15人かぁ。
確かにそれだけ多いと自分の部屋って感じはしないね。
「おーい。見てみろ。僕達の部屋だぞ」
「うおーーーっ」
子供達が盛り上がっている。
今、来ているのは、10歳から13歳までの孤児達15人。
他の子供達を迎える準備をする先発隊だ。
「ほらほら、ちょっと騒いでないでちゃんとお手伝いするの」
「「「ラジャー」」」
こうやって子供達と並べてみると、ミントはちゃんと大人の女性に見えるな。
今日は聖女さんは仕事ということで来れないから、ミントが取り仕切っている。
「明日にはみんな来るんですよね。大丈夫ですか?」
「孤児のみんなはいい子ばかりだから大丈夫」
「それならいいですね」
僕は正直言うと、子供はかわいいと思うけど、面倒でもある。
一緒にいると引っ張られてへとへとになるイメージだから。
「はーい、みなさん。ごはんよー」
「わーい」
今日のところは、うちのメイドがご飯を作った。大量のご飯だから、張り切っていたなぁ。
「うおっ、白いパンだぁー」
「スープは肉入りだぞ」
「すげー。うめー」
メイドにはうちの食材を使ってもいいよって言ってあるから、そこそこいい食事になっている。
だから、孤児の子達からみたら、すごい食事なのだろう。
「おまえ、食べないのか? 食べてやるよ」
「ふざけんな! 僕のを取るなよ!」
「こらこら、けんかしないのっ!」
子供達の相手をしているミントも大変だ。
だけど、楽しそうだから、いいだろう。
「みてみろよ、家の中にトイレがあるぞー」
「すげー、本当だ。これなら夜、怖い思いをしなくてすむぞ」
そこ?
実際にトイレして、シャワートイレだとわかったら腰を抜かしてしまうかもね。
まだまだ、びっくりするとこたくさんあるぞ。
この建物は。
だけど、元気すぎる子供の相手は疲れるな。
僕はそんなカオスな状態から抜け出して、自分の部屋に避難することにした。
これから、うちの一部は孤児院として、子供たちが住むようになるんだな。
どうなるのか、楽しみでもある。
来月末に『土魔法』の第2巻が出ます。
今、イラストを描いてもらっているとこ。
火魔法男爵や、成長して美しくなった白狼娘。
イラストになると、すっこく楽しくなるね。
この小説も更新を再開しますね。
楽しみにしてくださいな。
「期待しているぞ」って思ってもらったら、評価してくれると嬉しいです。




