第267話 ショッピングモールはどうなっているのかな
「ミント、お昼は外に何か食べに行きましょうか?」
「うれしいっ。モール?」
「そう、モール。にぎわっているみたいだけど、私たちもお客さんとして利用してみようと思ってね」
「うん! 行きたいっ」
ミントはおめかしを始めた。
ピンクの大きめのセーターに黒地に白の水玉模様のスカート。
もこもこしてかわいいな。
「お待たせっ」
「よし、行きましょう」
誘ってから一時間ほど経っている。
ミントも女の子だから支度に時間がかかるんだよね。
「ねっ、何食べる?」
「今日の朝食は軽かったから、ミントもそこそこお腹空いていますよね」
「ええ。お腹空いてる。何を食べようかなぁ」
僕らの住んでいる屋敷から、ショッピングモールまでは歩いて4分ほど。
同じ24街区だから、近くにある。
時々、ミントや白狼娘を誘って食べにいこう。
今日は、白狼娘は狩りかな、朝からいないし。
「何食べよう」
楽しそうに悩んでいるミントと腕組して歩いていると、すぐにモールの入り口に着いた。
入り口を通ってモールに入るとすぐに声がかかる。
「いらっしゃい。串焼きだよ。美味いよ」
ミントと同じ歳、15歳くらいの少年が串焼き屋さんの客引きをしている。
モールでは、店の前に限って客引きが許されている。
他の店の前に行って客引きはしてはいけないらしい。
すでに出来上がっているモール出店者会議で決まったことらしい。
「ごめんなさい。今日は肉好きな連れはいないんです」
「あ。土魔道士さんじゃないの。モールのオーナーだよね」
「はい。どう? お客さんちゃんと入っている?」
「すごいんだよ。この1週間で本店の倍の売り上げだって」
「それはよかった。大入り袋もらっている?」
「うん。毎日もらっているよ。ずっと続いたらいいな」
まぁ、まだ開店のご祝儀みたいなものだからね。
本当の人気は一ヶ月後にどうなっているか、だね。
「がんばってくださいね」
「はい。がんばるよー」
串焼き屋の前を通り過ぎて、隣はスープ麺料理か。
「スープ麺はどう?」
「うーん。撥ねるから……」
せっかくおしゃれしたのに、スープ麺はないか。
「じゃ、今日は高級料理店にしましょうか」
「あ、それがいいな」
ミント、嬉しそうだ。
久々のデートだからね。
じゃ西方料理にしましょう。
やっぱり、西方料理は高級料理の基本だね。
「ここにしよう」
「わーい。一番有名なお店ね」
モールの中に入っている一番の高級料理店。
三階にあるそのお店の入り口に立っている。
お店の大きさは他のお店と同じだけど、豪華さは全然違う。
真っ白な太い柱が4本立っていて、神殿ぽい入り口になっている。
早速、入ってみよう。
これはデート回かな。




