第266話 飛行船の原理
飛行船を造るには、どんな原理になっているのか。
知っている人はいないかな。
知り合いの中で一番。知識がありそうな人。
あんまり、いないな。
貴族の人は知識はあるけど、あまり細かいことは知らなかったりする。
貴族社会特有なルールは良く知っているけどね。
冒険者達は魔物とかに詳しいけど、それ以外はいまいちだね。
あ、そうだ。
街コーデのお姉さんに聞いてみよう。
いろんな人の要望に応えているから、いろんな事、知っていそうだからね。
街コーデさんの事務所にお邪魔したら、お姉さんいるみたい。
あいかわらず見事な胸の谷間を観賞しながら質問してみた。
「えっ、飛行船? 王都が使っているという?」
「あるんですね。飛行船」
「ええ。王都に1隻だけあると聞いたわ」
なんと。一隻しかないのか。
造るの難しそうだな。
「飛行船が飛ぶ原理って分かりますか?」
「基本は気魔素よ。大きな気魔素のタンクがあってね」
うーん、気魔素かぁ。
土魔素じゃ無理かな。
「土魔素じゃ浮かないわよね」
「それはそうですね」
駄目だ。すでにある飛行船だと参考にならないらしい。
完全オリジナルで行くしかないとていうことだね。
「今度は飛行船を造るの?」
「はい。まだ研究中ですけどね」
「私も乗ってみたい。飛行船」
「もちろん、乗ってみてくださいね」
また期待を持たせることを言ってしまった。
白狼娘と街コーデのお姉さん。
ふたりに造るって言ってしまったぞ。
街コーデさんの事務所を出て、街の外の広場にやってきた。
ここで実験してみよう。
「まずは形だけ作ってみよう」
形はふたり乗りの小型車をペースにしてみた。
タイヤは不要だから、タイヤを下向きにする。
もちろん、鉄ではなくセラミック製だ。
昔見たスパイ映画に出てきた空飛ぶ車だね。
これが試作一号だ。
「あ、できたのか? 我が一番最初に乗るぞ」
「まだ形だけですよ。私が乗らないと飛びません」
白狼娘とふたりで飛行車に乗り込む。
「発車!」
「了解しました」
土魔法でふわりと浮かせる。
「飛ぶじゃないか」
「いや。私の魔法で浮いているだけですよ」
土魔法でどこまで浮かせることができるのか。
上昇をしつづけてみた。
50mは行けそうだ。
「おおっ、高いな。前にも進むのか?」
「もちろんです」
今度は前に向かって土魔法で動かしてみる。
「速いぞ。これは便利だな」
「だけど、私がいないと駄目なんですよ」
「それはそうだ」
「ひとりで操縦して飛ぶのがほしくないですか?」
「そんなのできるのか?」
あ、いけない。
また、期待を持たせることを言ってしまった。
簡単に出来そうもないから、じっくりと研究してみよう。
魔法というと、飛翔魔法。
ホウキで飛ぶのはちょっと違うよね。




