第264話 ショッピングモールがオープンした
馬列車がスタートする前にショッピングモールがオープンした。
全部で30の飲食店が入るモール。
豆型の建物は3階建てで、中庭をぐるっと囲むように店が並ぶ。
二階と三階は、吹き抜けになっていて中庭に建つと空が見える。
一階から二階へ、二階から三階へは階段があって、二階と三階には中庭に面した通路がある。
オープン時には、まだ20の飲食店だけが開店して、残りの10の飲食店は準備中だ。
20のうち、3店は高級料理店。
本来なら、貴族やお金持ちしかこない場所にある。
しかし、このショッピングモールは関係なく、大衆料理と高級料理の飲食店が一緒に存在している。
「いよいよ、オープンね」
「ああ。客が集まってくれるといいんですが」
ミントと一緒にショッピングモールのオープン前にやってきた。
元々はスラムだったこの場所は、今では24街区として再開発されている。
住宅も半分くらい建っている。
「あと、一時間くらいね」
「そうだな。お客さんはもうそろそろ来ているんじゃないですか?」
「うん。きていると思う。入り口に行ってみない?」
ショッピングモールの入り口は一箇所。
入り口を抜けると中庭に入って、そこから各店に行く導線になっている。
同時にたくさんのお客さんが入れるように入り口は多く作ってある。
その入り口はまだ閉まっている。
入り口の横に設置されていている従業員用の入り口を通って外に出てみた。
「すごいわー」
「本当だ。何人いるんだろう?」
三日前にやった馬列車のお披露目会も1000人以上いたけど、今日、集まっている人も同じくらいいるんじゃないだろうか。
「うん、オープンのときの集客は成功したみたいだな」
実際には、ショッピングモールとしては集客らしいことはしていない。
各店がそれぞれやっているだけだ。
しかし、新しい形のお店が出来るという噂は街中に広がっていた。
いよいよオープンだということで、新し物好きな人たちが集まったようだ。
「どうかな。お客は集まってきているか?」
入り口に近い場所に開店した串焼き屋の店長が聞いてくる。
この店がショッピングモールをつくる原動力になった店なんだ。
店長は、元のお店の若手が勤めている。
「すごいのー。入り口の前に行列ができていたわ」
ミントが答える。
他の店も準備がちゃんとできているのか確認しに廻ってみた。
うん、いい感じだ。
そんなことをしていると、オープン時間になったようだ。
入り口の大きな扉が開いて、お客さんが入ってきた。
うん、上々なスタートができた様だ。




