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第260話 家は建売に限るんです

「ここがニューシテイの住宅街区です」


私が造った街壁で造られた新しい街、ニューシティにやってきた。


土魔法建築を依頼してくれるノース商会の商人さんが案内してくれた。

中肉中背の軒色白な男。ちょっと気弱そうに見える商人さん。

まぁ、冒険者と違って商人さんにはいろいろなタイプがいるけどね。


「まだ、ひとつも家が建っていないのでうちの商会で建てて売ろうと思いまして」

「建売ってことですね」

「建売です。あんまりいろんな種類の住宅よりもいくつかの種類を組み合わせて建てていきたくて」


気弱そうに見えるけど、提案は大胆だ。

一気に家を建てて、売りまくるってことだな。


「全部で何軒建てるんですか?」

「12軒です。ここから、あっちの通りまでの一区画です」


このあたりは簡単に整地されていて、道の部分は踏み固められて道端には石が埋め込まれている。

指示された一区画は碁盤状に道が敷かれているところで、縦横に道で区切られて、横に6軒、縦に2軒の計12軒分。


「すると、どんな形の家にしたらいいんですか」

「ロジャーさん宅に使った設計と……」。

「あ、お客さんの名前じゃ分かりません。、家の形を教えてください」


どうも名前を思せ得るのは苦手なんだ。

商人さんはさすがにいろんなお客さんの名前と顔を覚えているみたい。


「ほら、三角屋根の家あったでしょう」

「あ、あれですね」


色白商人さんの指定する家の形を聞いて、名刺大のセラミック板を出す。

土魔法建築は、建てた家の設計はセラミック板に記録してから建てる。


指定された家のセラミック板を取り出して並べる。

全部で6種類。


「この6種類ですね。配置はどうしましょう」

「えっと、これが一番売れると思うので、この4箇所で……」


地面に線を引いて、12軒をどのタイプ家にするか、指定してもらう。

4軒のが1種類、2軒のが3種類、1軒のが2種類だ。

全部で6種類、12軒。


その数に合わせてセラミック板をコピーする。


《セラミック板複製》


よし、12枚のセラミック板ができた。


「それで12軒が完成するのって、来月くらいですかね」

「いえいえ。そんなにはかかりません。明日です」

「ご冗談を。いくら土魔法建築と言っても明日までで12軒は無理でしょう」

「そう思います?」


実は、最近、土魔法のパワーが上がっているみたいで、家を建てるのが3時間もあればできてしまう。

それに、12軒がまとまっているから並行作業ができるはずだ。


3軒平行作業で造って、4工程。1工程に休憩も入れて5時間。

今日だけだと難しいけど、明日までならできそうだ。


「それじゃ、やってみますね」


《設計展開、シーケンス住宅建築》


家造りに必要な土魔法をセラミック板の中に記録してある。

それを展開して、後は自動で造られていく。


一軒目の建築に必要な魔力を注入するだけ。

あとは3時間待てば、完成だ。


最初は土台作りから始まって、柱が上に伸びていく。


「次いきますよ」

「えっ、こっちはもういいんですか?」

「そこは自動で家造っていますから」

「次は三角屋根でしたね。いきますよ」


《設計展開、シーケンス住宅建築》


「ほら、始まった。こんな感じで同時に3軒造るんです」

「すごい!信じられない!!」


明日までに12軒。

1軒が金貨70枚だから、全部で金貨840枚。


うーん、建売はいい稼ぎになるなぁ。


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