第252話 Gブランドって何だ?
「お会いできてうれしいです」
若い男、と言っても私よりは5歳ほど上かな。
25歳くらいで小柄な彼は騎士さんの紹介で私に会いにきた。
「それでどんな用件なのでしょう」
彼は5街区にある料理店でシェフをしているという。
もうひとり、同じ歳くらいの背が高い男と一緒に来た。
「Gブランドのことですが」
「Gブランド?」
いきなり言われて戸惑っていると、彼も戸惑いがちに言う。
「単刀直入に言います。私の店にもGブランドの食材を提供して欲しいんです」
「えっと、Gブランドって何んですか?」
「えっ………土魔法使いの大先生ですよね」
「大先生かどうかは不明ですが、土魔法使いですが」
どうも話がかみ合わない。
そもそも、Gブランドって何だ?
「Gブランドは最近有名になった高級食材です」
「そうなんですね。食材は詳しくなくて」
「えっ。GブランドのGはグランドの意味で、土魔法ですよね」
「そうだったんですか!」
初めて知ったけど、いつの間にか土魔法で作られた野菜等の食材がGブランドって呼ばれるようになっているらしい。
Gブランド野菜の産地は確かに僕が土魔法で畑を強化した村々だ。
「それで、Gブランド野菜の話を私に聞きに来たんですね」
「そうなんですけど………知らないんですよね」
「あ、Gブランド野菜は初耳でしたが、作っている村は良く知っていますよ」
「本当ですか!」
今度は背が高い方の若い男が喰いついてきた。
「あなたは?」
「あ、すみません。私はサウス商会で食材の売買をしている商人です」
「うちの店は昔から彼のところで食材を仕入れているんですよ」
「それなら、Gブランドかどうかは分かりませんけど、土魔法農法を使っている村に行ってみますか?」
「ありがとうございますっ」
ついでと言ってはなんだけど。
ショッピングモールに新店出店のお誘いもしてみた。
「もちろんですよ。Gブランドクラスの食材が手に入るなら新店もやりたいですよ」
やったね。それなら善は急げということで。
おいしい野菜を買い付けに土魔法農法の村に一緒に行くことになったんだ。
いつの間にかブランドになっていました。




