第243話 黒幕が登場した
ずいぶん更新が止まってすいません。再開しました。
「おい。準備はできたか」
洞窟の奥から声がした。
別の男がランタンを持って近づいてくる。
「お頭、危ないです!」
そいつがお頭か。黒幕のドンだな。
「なんだ?少女はどうした?」
「変な奴が現れて」
お頭の姿が明らかになる。
黒いフードをかぶった姿。
魔法使い系だな、きっと。
手にしているのは、奴隷の首輪。
「お前達は、奴隷商人ですか?」
「はて。お前は誰だ?」
「そんなのはどうでもいいです!これでも喰らいたまえ」
土の槍を10本ほど投げた。
しかし、あっさりと魔法シールドで防御されてしまった。
「ずいぶんと乱暴だな。何の為に俺たちの邪魔をするんだ?」
「何の為にって。少女を売り飛ばす悪人ですね、お前達は」
「売り飛ばすのではない。買い取っただけだ」
たしかに。こいつらは奴隷商人だろう。
だから、買取をしたというのか。
「ちょっと待ってもらいたい。買取をしたと言うが、誰から買ったというのか?」
「それはもちろん、村からさ。村長だって知っているぞ」
「なんだと!」
こいつの言うとおりだと、村ぐるみで少女を奴隷商人に売り飛ばしたことになる。
「この村は貧乏村でな。三年に一度のこの行事がないと暮らしていけないんだ。状況も分かっていない奴は口出しするな」
「しかし、神様の名前をかたるとは、バチが当たるぞ」
「そんなこともないぞ。大蛇神は俺達の味方だぞ」
「誰が味方だって?」
いきなり、低い声がした。
その声がしたほうを見ると。
少女が起き上がっていた。
「おい、少女が気が付いたみたいだぞ。いい加減、その穴から出て来い」
「あ、すみません。お頭。すぐに準備します」
「お前は、そこに入っておれ!」
少女が水魔法使いに叫ぶと、水魔法使いは動けなくなった。
「我輩の場所でお前らは何をしているんだ?」
「もしかして・・・大蛇神様?」
少女はもしかして、ミントと同じ巫女なのか。
神様を降ろすことができるのかもしれない。
「なんだ。土魔導士よ。ここで何をしている?」
「えっ?」
大蛇神って、いきなり親しげに話してくるなぁ。
知り合いでもないのに。
「お前とは知り合いだろう。何度も会っているじゃないか」
「あっ」
大蛇神だと思っていたら、龍神様ではないですか。
「龍神様ですか?」
「龍神と呼ばれることも、ドラゴ神と呼ばれることも、大蛇神とも呼ばれることも、あるぞ」
大蛇神と龍神が一緒だったんだ。
それなら、話は早そうだ。
「龍神さん。あなたの名前で少女を生贄にしている奴隷商人がいますが、いいのですか?」
「いいわけあるまい」
そうでしょう、そうでしょう。
奴隷商人にふたりの魔法使いは真っ青な顔をしていた。




