第242話 少女を助けろ!
私は大蛇神の滝に飛び込んだ。
いきなり、複雑で強い水の流れで身体がもみくちゃにされる。
そのうえ、透明度が低くてほとんど周りが見えない。
早く少女を見つけないと取り返しにつかないことになるぞ。
そうだ!土魔法を使ってみよう。
透明度が低いということは水に土が混ざっていることでもある。
同時に土魔素が混ざっている。
《土魔素探索:人》
土魔素を通して水の中を探索する。
人の姿で探してみる。
いたぞ!少女は水流に流されて底の方に沈んでしまっている。
《土魔素制御:ジェット流》
水の中に含まれている土魔素を動かして、僕の身体を押す形のジェット流を作り出す。
少女がいる場所に底に向かって。
おおっ、やっと少女が見えてきた。
少女は自然体でいるので気を失っていると思われる。
とにかく早く、息ができるように水面に出さないと。
少女に合流して、少女を抱える様にジェット流に乗って水面に向かう。
キラキラした光が見えてきて、水面が近づく。
「ぶわっ」
水面から顔を出す。
少女を仰向けに水面から出させて息ができるようにする。
これで大丈夫だろう、一安心だ。
さて、状況確認だ、廻りを見渡そう。
なんだ、ここ?
近くに岩の断崖があって、反対側には滝の水が落ちている。
そうか。滝の裏側に出た様だ。
「お前は誰だ?」
いきなり声を掛けられてびっくりした。
よく見ると、岩の断崖には小さな洞窟がある。
その入口に人影がいる。
「もしかして、大蛇神の遣いですか?」
「ふざけているのか?その少女を寄越せ」
どうも普通の人らしい。
「あなたは?誰ですか?」
「誰でもいいだろう。よこさないなら力づくでいくぞ」
いきなり、水流の流れが変わった。
あ、水魔法使いでしたか。
「僕も似たようなことができるんです」
《土魔素制御:大波》
僕と少女の辺りの水が盛り上がって大波となって水魔法使いに押し寄せる。
その大波の一番高いとこに僕と少女がいる。
「おまえも水魔法使いか!」
そうじゃないけど、訂正する必要も感じないから、そのまま大波の乗って水魔法使いのいる洞窟へ向かう。
洞窟が水浸しになり、僕と少女も洞窟に入る。
「ウォーターボール」
水魔法使いは水で2mもある球を作っている。
それを飛ばされる前に、水魔法使いの足元に穴をあけて落とす。
ウォーターボールごと水魔法使いは穴に落ちた。
しばらく待っていると、水で満たされた穴から水魔法使いが顔を出した。
「さて、どういうことか説明してもらいましょうか」
水魔法使いの顔は怒りで赤くなっていた。