表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/311

第241話 神様と直談判

「こういう風習がある村の人と話してもラチがあかない」


これは、水の民の村で分かったこと。


過去から伝えられる伝承に基づく神事は変えてはならない。

そう村人は信じている。


村の外の人間が余計なことを言っても聞く耳を持たないだろう。


「となると、神様に直談判しかないな」


龍神様とはミントを通して話したことがある。

たぶん天使であった頃も神様と話したことくらいあるだろう。


しかし、今の僕ひとりで神様とお話ができるのかどうか。

それは分からない。

だけど、12歳の少女をただ見殺しにすることはできない。


やるしかない。


大蛇の滝に少女を捧げる。

その際に、僕も滝に飛び込む。


土魔素を最大限巡らせていれば、10分ほどの潜水なら問題にはならないはずだ。

泳ぎがうまいとは言えないが、土魔素の身体強化で楽に泳げると思う。


正直、どうなるか全く分からないけど、とにかく滝壺に飛び込んで、生贄の少女を捉えにくる大蛇神か、その使いと会う。

すべてはそこからだ。


シャーマンと少女と女性達は踊りながら山道を進んでいく。

20分も歩いただろうか。

水が落ちる音が聞こえてきた。

それもだんだんと大きくなる。


そこが大蛇神の滝だろう。


僕は村人の列から離れて、滝に向かって走る。

岩がごろごろした荒地だが、身体強化をしているたら、岩から岩へと飛び移って駆ける。


村人達より早く大蛇神の滝に着く。

高さ20mはある立派な滝だ。


大蛇神の滝というだけあって、まるで何匹もの大蛇が絡み合っているように、太い水流が何本にも分かれて落下している。


「ここに少女を投げ込むのか」


下を覗いてみると、大きな滝壺になっていて、深さがどれくらいあるのか不明だ。


どうしたものか考えていると、シャーマンを先頭にした村人達が踊りながら近づいてきた。

滝の近くの大岩に少女を載せると、シャーマンが叫びだした。


「大いなる大蛇の神よ。今宵、花嫁をおつれしました。行く久しく共に過ごされるよう、お祈りします。そして、我が村に加護を与え続けるようお願いいたします」


大蛇神への御言葉を並べている。

それが終わると、少女を滝壺に投げ入れるのだろう。


僕は見つからないように岩陰に隠れ、少女が投げ入れられるタイミングを待っていた。


シャーマンは大きく身体を動かし、少女を抱きかかえて岩の隅に歩いていく。

いよいよだ。


「大蛇神よ、永遠なれ」


ひときわ大きく叫ぶと、少女を投げ入れた。

僕も、同じタイミングで飛び込んだ。


5日ぶりの投稿です。また毎日投稿できるようにする予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ