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第236話 ショッピングモール見学会

「いらっしゃいませ。串焼きいかがですか!」


今日のショッピングモールの見学者は3組。

スープパスタのお店の店主さんと、居酒屋の店長さん、高級レストランのオーナーさん。


「もう、お店を始めているんですか!」


実はボア狩りで高級な魔物肉が大量に入手できてしまったから、串焼き屋の大将におすそ分けしたらさっそく串焼きにしてくれた。

これがまた、やたらと美味しくて、その一部を新店長が焼いてくれている。


ショッピングモールはまだ骨組みしかできていないけど、1階の3店舗だけは内装を除いて準備してある。


店舗はすべて30坪になる予定で、中庭に対しては壁がなく開いている形だ。

外壁に対しては扉が用意されていて、外からも入れる仕組み。


串焼き屋だけはモデル店舗ということですでに内装も施している。ただ、大衆店なので白い壁をそのまま生かしたので、テーブルや厨房設備を入れるとだいたい出来上がる。


「ほう。こんな感じになるんか」


下町で居酒屋をしている店長さんは串焼き屋のテーブルに座ってエールを飲み始めた。もちろん、つまみは串焼きだ。


「お、これ。うまいですね」


スープパスタの店主さんはホーンドボアの串焼きが気に入った様だ。


「確かにうまいですね。シンプルな料理なのに。肉の味に深みがある」


高級レストランのオーナーさんにも好評だ。


しかし、今日の目的は串焼きを食べてもらうことじゃない。ショッピングモールに興味を持ってもらうことだ。


「このショッピングモールには、大衆店も高級店も一緒に入居してもらいます」

「そこなんだよ、気になっているのは」


高級レストランのオーナーが言う。


「うちは貴族やお金持ち相手の店だから、さすがに横が串焼き屋だというのは考えられないんだが」


やっぱりそうか。高級店の横は高級店。

それが常識なんだろう、この世界では。


「それはもちろん、串焼き屋に入るように気軽に高級レストランには入れないでしょう。しかし、庶民だって、年に一度くらいは行きたいと思っているかも、ですよ」

「無理無理。庶民にうちの料理の味が分かるとは思えない」


うーん、やっはり高級店には理解してもらえないか。


「うちだって、横が串焼き屋だというのは気になるよ」


スープパスタの店主さんも言う。スープパスタのお店はちょっとお金がある市民のためのお店。デートに最適だから、カップルが多い。

肉体労働や冒険者のお客が多い串焼き屋とは客層が違う。


「別々にしませんか。3棟ショッピングモールを造るというじゃないですか。棟ごとに大衆店、中級店、高級店と言う感じで」

「それはしたくないんです。いろんな人達が1か所に集まるお店にしたいんです」


ミント達のステージでもそうだし、湯んデレラ城でもそう。いろんな階層の人達が1か所に集まることは不可能じゃないと思っているんだ。


「わざわざ、失敗するよなものですよ。それは」

「まぁ、まぁ。串焼きをどうぞ。どんな人でも笑顔になる串焼きですよ」


3人の店主に串焼きを配る。あつあつを頬張るのが美味いだよね。


もぐもぐもぐ。やっぱり串焼きは美味いな。新店長が焼いても大将に負けてない。この微妙な焼き具合がすごいんだ。強火と弱火をうまく使い分けているし。


「うーん。やっぱりうちは無理かな。串焼きはうまいけど、串焼き屋の隣に店は出せないな」

「うちもそう。雰囲気が違ってしまうから」


高級レストランとスープパスタの店主は無理ぽいな。

居酒屋の人だけ、真剣に検討している。


そんな状態のときに、白狼娘と子爵子息がもうひとりを連れてやってきた。


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