第22話 一気に完成したら喜ばれた
「間取りその他、要望はすべて聞きました。その通りの家を作りましょう」
「ありがとうございます。いつ完成予定ですか?」
「2時間後です」
リーダーの奥さん。すごく喜んでいる。
だけど、喜びがびっくりにかわっちゃった。
普通はそんなに早く完成なんかしないよね。
でも、できあがったら、すぐに住んでほしいな、と思っているんだ。
だから、今日から住むための準備をお願いしておいた。
もう、家具とかも搬入しやすいところに置いてある。
今日からリーダーと奥さん、新居でふたりきりの生活が始まるんだ。
さて、始めますか。
一応、形式美で腕まくりをしてみた。
まずは、ボロ屋を土に還すことから。
ボロ屋に手を当てて、手に魔力を集中していく。
《構造物土壌化》
家の形をしていたものが崩れ始め、しばらくすると土の山に変化した。
次は家を作るぞ。
すでに要望を元に設計したセラミック板は完成してある。
そのセラミック板を元に家を造る。
土の山に意識を向けて、セラミック板を向ける。
《再構成》
大黒柱の代わりになる大理石調にした石材が、ズーンと、ど真ん中の柱が立ち上がる。
周りの柱も順番に立ち上がっていって、天井の位置で梁が渡されていく。
一階の柱組は出来上がる。
一階の次は二階の柱だ。
一階の天井部分からさらに上に柱が伸びていく。
梁が渡され、その上に屋根の柱組が斜めに組まれていく。
玄関や窓枠が作られベランダの枠もできる。
これで柱組は完成だ。
次は、壁と屋根板。
薄く軽量に加工された軽石的な壁材で外壁ができあがる。
屋根は少し厚さがある強化石材で覆う。
家の中の間仕切りや細かい細工を作り、最後に扉や窓板を入れて完成だ。
そこまでの時間は約2時間。
複雑になっただけに穀物小屋よりは、時間がかかってしまった。
とはいえ、即日完成するのは土魔法の利点だ。
「できました」
「すごーい。魔法みたい」
「土魔法です」
奥さんが天然ボケを入れてくる。
リーダーも手を叩いて、喜んでくれる。
周りの住民たちがマジックショーを見に来るように集まっていた。
《荷物搬入》
最後に家具等の搬入サービスも実施した。
一緒、どこに置くか指示してもらいながらだから、ちょっと時間がかかる。
でも、力仕事はないから、楽な物だ。
「これで引き渡し終わりです。もし、住んでみて、何か問題があったら、後日対応しますね」
リーダーと奥さんが頭を下げて見送ってくれた。
一軒作って、金貨70枚の仕事。
実質3時間くらいか。
土魔法は、すごい価値がある魔法だなぁ、と改めて思った。
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