第219話 高級料亭に行ってみる
「ここが高級料亭なんですね」
「ははは。土魔導士さんは初めてですか、こういうところは」
ショッピングモールに高級店も出店してもらいたいと思うようになったから、まずは偵察をしてみようとなって、街長さんに頼んで高級料亭に連れてきてもらった。
「街長さんは良く利用するんですか?」
「ああ。政治とか行政とか、そういうことをしている者にとって庭みたいなところだよ」
「うわー。やっぱりそうなんですか?」
高級レストランは最近、ミントや白狼娘と一緒に利用している。だけど、高級料亭となると敷居が高い。
政治家や行政の人を接待する場や、政治家同士の密談に使われる場だったりして、一般市民にとっては縁がないところだ。
「なぜ、政治家の人は料亭をよく使うんですか?」
「それはすべで個室になっていて、情報を隠匿するのに都合がいいからさ」
たしかにそうだろう。この店に入ってから、会った人は料理を運んでくる女性だけだ。当然、その女性は教育されているから、誰が来たなんて話は外でしたりしない。
「でも、それだけなんですか?もちろん、料理もおいしいでしょうけど」
「料理だけを求めるなら、高級レストランの方が上だろう。でも、料亭には料亭だけの秘密の利点がもうひとつある」
そう言うと、街長さんはパンパンと手を挙げて鳴らした。
すると、すぐにさきほどの女性がやってくる。女性に街長さんは一言ささやくと、女性はすすすと下がっていった。
「何を言ったんです?」
「それはちょっと待てば分かるって」
しばらくすると賑やかな声がして美しい色のドレスを着た女性が4人現れる。どの女性もすらっとして、その上バストが豊かな女性だ。
「この女性たちはなんでしょう?」
「お前も野暮だな。男なら分かるだろう」
そういうと、街長さんは水色ドレスを着た女性の胸を手のひらでもんでいる。
「あらやだ。長さんたら。いきなりはダメですよ」
「そうかぁ。じゃあ。どこから触ればいいの?教えてよ」
「触る前にお話しでしょ。ほら、お連れさんびっくりしているわよ」
びっくりした。たしかにびっくりした。
娼館ならそういうことをするのは当たり前だけど、ここの料亭だからそんなことしていいとは思わなかった。
「と、まぁ。男が喜ぶことは大抵できるようになっておるんだ、料亭は」
「な、なるほど。男が喜ぶことですか・・・ほかに何かあるんですか?」
水色ドレスの女性にこそこそとまた何か言う。
すると、その女性は一度下がって、しばらくするとまたやってくる。
ドレスを紐であちこち結んで、動きやすくした恰好をしている。
テーブルの上を片付けると持ってきた絨毯みたいなのを敷く。
「さぁ、さぁ、皆さん。賭場が始まりました。賭けてください」
あ、ギャンブルか。そんなこともできるんだ。姉さんは。
「ギャンブルですか。面白そうだから、ちょっとやってみていいですか?」
「おう、やってみよう。どっちが勝つかな」
チップ1枚が金貨1枚が最低額だ。その上に10金貨、50金貨、100金貨、500金貨のチップがあるという。
さすがにそんな高いチップは怖いので1金貨のチップを10枚買う。街長さんも同じ10枚でスタートだ。
そんな訳で私の初めてのギャンブルが始まった。
ギャンブルはハマると地獄かも。