第215話 儲け話がやってきた
「実はすごい儲け話がありまして」
投資のミーティングに関してあちこちで話していたら、ある商会の男と知り合った。
聞いて欲しい話があるというのでカフェで話を聞いている。
「儲け話ですか?」
「そうなんですよ。今、投資先を探しているって聞いています」
投資先は探していないけどなぁ。
「投資は初めての様なのでちゃんとした投資先の話を聞いてもらいたくて」
ほう、ちゃんとした?
「投資というのはただお金が儲かればいいというのではありません。
それはそうかもしれないね。
「人のためになる投資でなければ長期的にみて儲かる形になりません」
うん、一理ある。ただ、儲かるだけの話は興味ないんだよね。
「だから今、投資するなら農村です」
「へっ?農村?」
「今、農村が新しい農法で生産性があがっていると知っていますか?」
「まぁ」
それ、土魔法で収穫が上がっている話だよね。
「なんと今年は去年の1.5倍にもなっているんです」
それ言い過ぎじゃない?平均すると1.25倍だって村娘が言ってる。
「小作料というのは、だいたい収穫の半分っていのうが相場です」
「そうなんだ」
「要は去年なら収穫の半分なんだから、今は1.5倍になったので半分と言わずに固定の金額にするんです」
「ん?どういうこと?」
「去年の半分、つまり今年の1/3を小作料にするんです。すると、去年の収穫と同じ量をまるまる手にできます」
要は農家の上前をはねるのを大きくするって話ね。
あんまり人のためになる話には思えないですが。
「だから、今。農地の開拓に投資するんです。すると、何もしないでも去年の収穫と同じだけ収入になります」
農村開拓は頼まれてやっているけど、そういうあこぎなことはしていないな。
でも、どのあたりでそういう開拓しているんだろう?
「開拓している農村ってどのあたりなのかな?」
「えっ。えーと、三角山の麓あたりの農村ですよ」
「あー。村長さんがひげが立派な?」
「えっ。そうそう。ひげが立派ですよねぇ、村長」
ちょうど先週の農村協力で行った村だった。
すでに僕が開拓してしまった後なんだけど。
いろいろと嘘っぽい人だね、この人。
「その話、もっと詳しく聞かせてくれないか?」
ふたりの話に割り込んできた男がいる。
たぶん冒険者。感じだとC級あたりか。
「依頼を成功させてお金は今あるんだ。有利な投資話があるなら知りたいんだ」
私はあまり興味なさそうだと見た投資話屋さんは、冒険者に熱く語りだした。冒険者も楽しそうに聞いている。
儲け話はそれぞれ自己責任でが当然だから、ふたりの話には介入しなかった。こっそり抜け出して、家に帰ってきた。
ハイエナが現れた。ハイエナは隣の冒険者に襲い掛かった。