第203話 プレイボーイ子爵
「いかがですか?」
「いいじゃないか」
「そう?」
ふわっとしたスカートが気になるみたいで、後ろを確認したりしている。
「こちらはどこのご令嬢ですか?」
「えっと・・・令嬢ではないかも・・・」
「そんなことはないでしょう。これだけ気品がある女性が令嬢でないはずがありませんよ」
おっさん紳士は、白狼娘に興味深々だ。
連れの女性を無視して、こっちの話に入ってきている。
「子爵さん。別の女性のお客様に興味を示すのはダメですよ。こちらの女性が気にするじゃないですか」
「なに。大丈夫だ。この女性はそんなこと気にしたりしないよ」
そうかなぁーー。思いっきり気にする表情しているぞ。
何気に白狼娘をにらんでいるし。
もっとも、白狼娘はにらみ返していて、負けてはいないが。
「そうだ。今週末に我が子爵邸でパーティを開くのですが、ご招待しましょう」
「いえいえ。私どもは田舎育ちですので、貴族の世界には疎いのでご遠慮します」
冗談じゃない。
貴族のパーティなんて行けるはずがないじゃないか。
もし、パーティの料理にうまそうな肉料理でも出たら、白狼娘ならかぶりついて雰囲気無茶苦茶らにしてしまうから。
「そうですか?残念ですね。街の中にお住まいですよね」
「ええ。24街区です」
最初、24街区というのがどういうとこが思いつかずに戸惑っていた。しばらくして、24街区のことを思い出したようで、こんなことを聞かれてしまった。
「あ、新しいところですね。それでは最近、この街に来たのですか?」
「そうですね。まだ3カ月ほどです」
「それでは、街のお知り合いも少ないでしょう。困ったことがあったら、私まで連絡してください」
店のペンを使って、住所を書いた紙を手をしてくる。
「ここで会えたのも何かの縁です。よろしくお願いしますね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
おっさん紳士と連れの女性は先に店を出た。
店を出た瞬間におっさん紳士に若い女性が怒っている。
まぁ、仕方ないよね。
私と白狼娘は、いくつかのアクセサリーも選んで、合計の金貨12枚を支払って、店を出た。