第20話 お金ができたから来てしまった
『愛の天使』
また、ここに来てしまった。
愛玩性のある奴隷を扱うお店。
徹底的に上品に。
癒し的に奴隷を見せるお店。
しかし、それは愛を金で買うお店であることは違いない。
「お金ができたらまた来ると約束してあるから」
ダンディな店員さんに約束した。
リーダーのお家はまだ作っていないが、前金で金貨70枚。
オーク討伐の報酬で100枚。
元々持っていたお金と合わせて、金貨200枚超え。
「いらっしゃいませ。もうお金、貯まったんですね」
「はい。金貨200枚持ってきました」
「まだ1週間ほどしか経っていませんね。すごいですね」
「それほどでも」
当然ながら、どうやって手に入れたお金かは詮索などしない。
このお店ではそんなことどうでもいいのだ。
お金がある人が、お金が無くて奴隷になった人を買うお店。
転生前だと、許されないが、この異世界では当たり前のこと。
「金貨200枚で買える天使を見せてほしいのですが」
「正直に言いますと金貨200枚で買える天使は全体の1/3でしかありません」
「そうなんですか」
「ええ。もしかしたら、満足いただけないかもしれません」
そうか。金貨200枚でも足りないのか。
「しかし、当店では特別サービスとして1か月以内の買戻し制度があります」
「買戻し?」
「お金が貯まってより高額な天使が欲しいと思ったら、買戻しができます」
「それって、買った時の値段で買い戻してくれるんですか?」
「さすがにそのままではありません。現在の価値の90%が買戻し価格です」
すると、金貨200枚で買って、さらに金貨200枚貯めてきたら、金貨380枚の天使をチェンジできるというのか。
そのサービス、便利かも。
「最初は条件を教えてください。年齢の範囲はどのくらいですか?」
「私と同じ20歳前後にしてください」
「ずいぶんと年増ですね。結婚適齢期の16歳あたりではないのですか?」
「私と同じくらいの年齢がいいんです」
20歳で年増って言われるんだ、この世界は。
身体は20歳だけど、精神は40歳だからなぁ。
20歳は全然若いと思うけどね。
「それだと選択の範囲が広がります。処女性はこだわりますか?」
「処女ではない方を望みます」
正直、処女だとどう対処していいのか、難しそうだから。
男性経験、ある程度ある人の方が初心者向きかなと。
「なら、性的テクニックのレベルが高い女性をお求めですね」
「あーー、そうでもないんです」
ダンディな店員さんがちょっと躊躇している。
私がどんな女性を求めているのか、分からないんだろう。
「私と同じくらいの歳で一緒にいて安心できる人が希望です」
ほぉ、と言う顔をした。
「愛の天使」を本当に求めるお客だと感じたみたいだ。
「分かりました。金貨210枚で条件にぴったりな天使がいます。特別割引で金貨200枚にしますが会ってみますか?」
「もちろん、お願いします」
なんかドキドキしてきた。
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