第19話 家族を守るお家を作ろう
「それで依頼なんだが」
「はい」
「この金貨で、私のうちを作ってほしい」
オーク討伐のB級パーティのリーダーさん。
私に金貨100枚を配分してくれた人。
リーダーさんは私の次に多くの配分をもらっていた。
金貨で70枚。
「この金貨70枚で作れる家が欲しい」
もちろん、土魔法で作ることが前提だ。
しかしまぁ。
やっつけ仕事の砦をみて、よく自分の家を頼もうと思うなぁ。
だって、どうせ1日しか使わない砦だから、そうとういい加減に作った。
表面加工は全然していないし、あちこちゆがんでいたし。
そんな家作られたら、どうするんだろう。
「耐久性や見た目、仕上がりもちゃんとしてくれることが条件だ」
あ、やっぱり、そのあたり気にするんだ。
はい、わかりました。
ちゃんと丁寧に作ります、はい。
「どんな家にしたいんですか?」
「今度、結婚するんだ」
「それはおめでたいことです」
「春には子供が生まれる」
家族3人、もしくはもっと子供が生まれるだろうし。
「すでに土地は手にいれてある」
もう、準備ができていたんだ。
それなら、あとは建てるだけだね。
「ただ。小屋とか砦とかと違って、奥様になる方の意見をちゃんと聞かないと駄目ですよね」
家を建てると決心するのは旦那さんだ。
だけど、ずっと家にいて、家を守っていくのは奥さん。
奥さんの意見をちゃんと聞けないと、優秀な大工にはなれない。
まぁ、大工になるつもりはないけど、住宅を建てるならちゃんと奥さんの意見を聞かないと。
「こいつが俺の嫁になる女だ」
「はじめまして」
きれいな人だな。
歳の頃は17歳くらい。
「よく行く食堂の看板娘だったんだ」
「あ、リーダー、手出してしまったんですね」
「しょうがないだろ。好きになってしまったんだから」
うーん、シンプルでいいなぁ。
僕もそう言えたら、うまくいくかもしれないと思う。
だけど、素直になる自信ないな。
「それでどんな家がいいのか、教えてください」
「参考になればと思って友達の家を見せてもらうことになっています」
連れていってもらったのは、そこそこ裕福な市民が住む住宅区。
家の大きさは、建物面積で20坪くらい。
日本だと狭いと思うけど、こっちの世界では広い家のタイプの平屋。
「この家と全く同じでいいですか?」
「あ、基本は同じでいいんだけど」
そこから要望がマシンガンのごとく飛び出してきた。
うーん、要望多い人なのね。
購入した土地というのも見せてもらう。
同じ住宅区の端の方にあった。
古いボロ家が建っている。
「これを解体して建て直してほしい」
土地サイズを計るとちゃんと参考の家が入るサイズ。
なんとか、なりそうだ。
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