第177話 水の民と太陽女神
東の島国が出てきました。まぁ、たぶん。この世界の日本だと思います。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
ブクマと評価もよろしくです。
「それでは、太陽女神にお祈りを捧げましょう」
水の民、30人ほどを前にして、太陽女神教団の水の聖女が話している。
場所は、水の民達が作った、藁屋根の教会だ。
まだ簡易形式だけど、30人が入れる大きさにはなっている。
「初収穫で作ったごはんです。皆でたべましょう」
「おおー、久しぶりの銀シャリだ」
「甘い。口の中に甘さが広がる」
「太陽女神さん、お米をこんなにありがとう」
水の民は、信仰は太陽女神様だ。
大地に収穫を与えてくれるのは、太陽。
毎日昇る太陽にお願いことを託して、沈む太陽に感謝を捧げる。
一緒に太陽を信仰することで協調性が高くなって、一緒に農作業をしていく。
それが、異国にきても水の民がうまくやっていける秘訣だ。
水の民は、舟を使って移動する民族でもある。
小さい舟ながら、巧に操って海を移動する。
東のはずれの東の島国から、帝国の西のはずれのこの属国まで小舟で移動してきたのだ。
「今年は豊作でしたね。皆さんが太陽女神と一緒にがんばったおかげです。その収穫を十分に堪能してくださいね」
水の聖女は、その場に来ている人たち全員に癒しのエリア魔法をかける。
疲れを癒して、リラックスした雰囲気の中でのみんな一緒の食事。
水の民には、貴族はいない。
長はいるけど、長といえども農作業をする。
食べるものも一緒だ。
ただし、太陽女神に誓いを立てた水の聖女は別。
食べる物は、限定が多く、お祈りを捧げるのが仕事だから農作業はしない。
水の民の長と一緒に、水の民を率いて、ここまで来た。
「この地は素晴らしいです。こんなに広い水田を与えてくれた伯爵には感謝しきれないですね」
「本当に。そのうえ去年は税金免除でしたから、今年はたくさん作付けできました」
「それがこの豊作につながったんです。ありがたいことです」
戦乱が起きた東国を立って新天地を求めてさすらう民だった水の民。
今、この地に定住できることが一番うれしいことなのだ。