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第169話 公演前の悲劇

「どうすんのよ、これ」


巫女メイドアイドルの6人はボロボロになってしまっている巫女衣装に途方に暮れていた。


あと30分もしたらステージが始まる。

それなのに、巫女衣装が着られないくらいボロボロになってしまっている。


幸いメイド衣装は昨日の夜、最終調整が必要になったから、徹夜で工房で直しをしていて無事だ。


「この巫女衣装は特別製で代わりなんてないのよ」


みんな頭を抱えている。


ひとりだけ、ぼーっとしていたミントが急に目が覚めたように立ち上がると。


「大丈夫。なんとかなるわ。みんな手分けして、対処するのよ」


ひとりは、普通の巫女衣装を借りにドラゴ大神の大神官さんのとこに。

大神官さんなら、巫女衣装をなんとかしてくれるはずだ。


ただし、普通の巫女衣装でしかない。


だから、ストーリーは変えないといけない。


巫女アイドルではなく、普通の巫女がメイドアイドルに転身するストーリー。


これを巫女メイドイエローが30分で書くと同時に、それぞれが覚える。

もっとも、細かいところまでは無理だから、おおざっぱに決めてあとはアドリブだ。


前半の劇部分は歌ったり踊ったりするところを除くと約10分。

みんなで協力して乗り切るしかない。


「わかった。すぐ書くわ。みてなさい。邪魔する奴!」


元の脚本にガンガン書き込みをして、直していく巫女メイドイエロー。


その脚本を見ながらリハを続けるメンバー達。


「大丈夫。大神官さんが巫女服を用意してくれるわ。もう、お祓いは終わったから巫女さんの出番はないから、巫女服貸してくれるって」


巫女メイドピンクが息を切らして報告する。


「いけるわ。負けるもんですか」


ミント、巫女メイドレッドも気合を入れる。


そんな舞台裏が大盛り上がりをしている頃。

ステージでは令嬢は、澄ました顔で弦楽器の独演ステージをそつなくこなしていた。


2曲目の演奏が終わり、令嬢が観客に向かって礼をする。

すると、観客が立ち上がって拍手をする。


中には座ったままの人もいるが、多くの人は隣の人が立ち上がって拍手を始めると自分もしないといけないのかなと拍手を始めた。


観客席全体から大きな拍手が沸き上がってくる。


令嬢は満足そうに3曲目の演奏に入る。


「な、あの令嬢の演奏って上手いのか?」

「うーん、よくわからないよ。ああいう音楽って。たいくつじゃね?」

「だよな」


貴族の中では人気ダントツの令嬢も観客席の半分を占める庶民にとっては上品すぎて面白みに欠ける演奏なのだ。


しかし、退屈だとしても観て拍手するしかないので、迷惑にならないくらいに合わせている。

それが現実なのだ。


しかし、ステージの上の令嬢は得意の絶頂にいた。

貴族と庶民、両方に支持されるアイドルは私よ。


そう実感していたのだ。


定番は意地悪しか思いつかない令嬢でした。


楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。

ブクマと評価もよろしくです。

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