第165話 街少女の土魔法
「それじゃいくよ」
街少女に密着する。
この娘、肌すべすべ。
触れてるだけで、妙に気持ちいい。
役得、役得。
たぶん男に身体を触れられるのは幼児の頃の父親以来だろう。
ぴくっとするのが、初々しいな。
いかんいかん。
雑念捨てて、集中しないとね。
私の中の魔力を高めていく。
すると、少女の身体も魔力が高まっていく。
「!」
びっくりした。
想定以上に魔力が上がっている。
今の段階では、軽く回しているとはいえ、私と同じくらいの魔力が貯まっている。
「どう?なんか感じる?」
「ちょっと暖かくなったくらい?」
あまり実感はないみたいだ。
それでは少し魔力を動かしてみよう。
「あ、動いています。右手の方に」
「わかる?」
今は土魔素の霧は使っていないから、目では確認できない。
身体の感覚だけが頼りだ。
「もっと強くするよ」
「はい」
すごい、この子。
私の魔力増加に自然と対応している。
やり方なんて教えていないから、自然にできるのだろう。
もしかして、できるかも。
そう思って、彼女の左手を地面につけた。
そして、私の魔力を相当レベル上げて、地面についている手に集める。
街少女も同じ様に手に集めている。
「そのまま、地面に魔力を投げ込むようにしてみて」
「はい」
彼女の手の下の地面に土魔素が放出された。
そこにボーリング調査をしたみたいな手のひらくらいの直径の丸穴が開いた。
「おおー、いきなり穴掘りの土魔法ができた。すごいな」
「うそぉーーー。もしかして、わたしがこの穴、あけたの?」
「そうだよ。いきなりできるって、すごいぞ」
今度は私の魔力ガイド無しにひとりでやってもらう。
魔力の貯め方は声でナビゲートしたけど、身体には一切触れていない。
それなのに、また同じ大きさの丸穴が開いた。
「よし、他の子たちがやっている次の養成講座にも出ようね。レンガ造りとかしているんだけど、君ならすぐに追いつくから」
この日は、それぞれの魔力増進のために、一緒に触れ合うことをしまくって、完了した。
うん、やっぱり。このお仕事は楽しいなっ。
今日も3話アップの予定です。