第16話 噂の男
「高額な依頼はないだろうか」
そんな甘い期待をして、冒険者ギルドを覗きにきた。
当然ながらG級冒険者では大した依頼なんてない。
「あ。あなた!土魔法の人ですよね」
受付のお姉さんに声を掛けられた。
最初にギルドに来た時と同じお姉さんだ。
「はい。G級ですけど」
「本当の実力はそんな物じゃないですね」
「まぁ、そうですが」
どんなに実力があってもライセンスがないとね。
ルールってものがあるだから。
「B級ライセンスのパーティが実力のある魔法使いを探しているんですよ」
「おっ、いいですね。私でも大丈夫ですか?」
「たぶんね」
受付の横のテーブルで待っていると、ひとりの男を連れてきた。
「いました。すごい魔法の使い手が」
「ほう。ランクは?」
「G級なんですが」
「はぁ?」
「まだ依頼をこなしていないだけです。腕試しをすればそんなものじゃないことはすぐわかりますよ」
紹介してもらったB級剣士の男について、広場にやってきた。
パーティメンバーも集まってきて3人の男女になった。
「今度うちのパーティでオークの巣を討伐に行く予定だ。その時に一緒にいく魔法使いを募集している」
魔法使いは珍しいのでパーティのメンバーにいないことが多い。
特にB級パーティになると、そこまでレベルの高い魔法使いは見つからないからなおさらだ。
「それでは、テストをさせてもらおう。どんなテストがいいか?」
「そうですね。3分で私を傷つけられるか、ってテストでどうでしょう」
「ほう。B級剣士をなめていないか?一対一で勝てると思うのか?」
「いや、そちらは3人で」
あ、怒ったみたい。すごいプライドだなぁ。
「俺たちはみんなB級だぞ、いいのか?」
「はい。そのくらい余裕なんで」
「言ったな」
B級剣士3人は剣を構えた。