第150話 3人目はもしかして
「この娘も魔法の潜在能力があると出ている」
村娘を外に出して、伯爵が連れてきた女の子。
あれ・・・もしかして。
「この娘、令嬢さんの肖像画に似ていますね」
「あー、分かるか」
「令嬢さん・・・ではないでよね。オークション会場で見かけましたから」
「妹だ。母親は違うけど」
認知はしているけど、母親は側室ですらない。
庶民の女性らしく、立場は弱い。
「正直あまり私が支援することができない娘なんだ」
だけど、令嬢さんより可愛い様な。
「でも、可愛いだろう。ちょっとキツメの上の娘より」
あ、やっぱり、伯爵様もそう思うのね。
だけど、いいのかな。
「伯爵様の娘さんですよね。私が触れ合ってしまっていいんですか?」
「もちろん、父親としてはちょっとあるが。立場が弱い子だから、魔法の力を授けてほしいんだ」
「なるほど」
それは複雑だね。
そもそも、伯爵様もお盛んなのね。
「ワシもな。かわいい女、綺麗な女に目がなくてな。ついつい手を出して正室に怒られてな」
「大変そうですね。私は独身だけど、分かります」
伯爵様に男同士の強い絆を感じた。
伯爵様の正室はたしか、王家につながる人だと誰か言ってたなぁ。
「もちろん、この娘の話は内緒だ。そのあたり、気をつけてくれよ」
「わかりました」
うんうん。伯爵様とこういう繋がりができるのはうれしい。
ただの損得勘定を超えたものを感じる。
「今、13才くらいですか」
「先月14才になったよ」
まだ大人になっていないのね。
ちゃんと扱ってあげないとね。
「こんにちは」
「こんにちは」
ずっと大人同士の話を静かに聞いていた娘に話かける。
「これからね。魔法の力を授けるね」
「よろしくお願いします」
「何をするのか、聞いている?」
「はい。伯爵様から、だいたいは」
伯爵さんを見ると、うんうんとうなづいている。
「今、授けてしまった方がいいんですか?」
「そうだな。明日には、魔力が貯められる状態で参加させたい」
「そうですよね」
「あー、私は邪魔か。あっちに行っているね」
「そうしてくれると」
「どのくらいかかる?」
「一時間ほどで」
「わかった」
伯爵さんが出て行ってふたりっきりになる。
妙に緊張するな。
1か月ちょっとで150話になりました。
なかなか良く書いてるなぁ。
そして、お知らせがあります・・・新連載はじめました。
今度は料理人のお話。
だけど、普通の料理人じゃなくて、錬金料理人。
アトリエシリーズではにんじんスープのが好きだったんです。
当初は毎日4話アップの予定です。
よかったら、読んでくださいね。
『「料理人は引っ込んでろ」と言うけど、錬金料理人って実は超強力な奴なんです』
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