第149話 権力で少女を、ではなくてお国のためなんです
「はっはっは。そんなことは言ってないぞ。勘違いがすごすぎる」
伯爵様が大笑いしてしまった。
だって、話を聞くと少女とあれしてほしいって聞こえるんだもん。
そりゃ、普通考えたら、そんなはずないって思うけどさ。
そんなに笑わなくたっていいじゃない。
「土の魔素を身体全体に巡らせてもらって、少女と肌を密着するだけで大丈夫だ」
「あ、そうなんですか」
「もちろんだ。ただし、肌の密着は必須条件だぞ」
でも、密着は必要なのか。
それはそれで、ちょっと困るけどなぁ。
まだ穢れを知らない少女に伯爵の権力を使って服を脱がせて・・・。
違う違う。
そういうんじゃない。
伯爵の領民のため、そして国、帝国のため。
農業高進のために土魔法を使える人を増やす、そんな大切な役割なんだ。
「まずは、土魔法トレーニングの実験をしてみたい」
「実験ですか。というと具体的には?」
「村娘が今、この街にいるという。あと、ミントさん。それともうひとりの、こちらが用意した少女」
「はい」
「この3人が簡単な土魔法が使えるようになるか、確認してみたい」
「わかりました。協力しましょう」
「じぁあ。善は急げだ。明日で、いいか」
うわ、いきなりですか。
伯爵様、決断が早いこと。
というか、気がはやすぎませんか?
「わかりました。なんとかしましょう」
ミントの予定も全部キャンセルさせないと。
明日は壁つくりの予定だから、街長さんに確認しとけばいいか。
「明日は壁つくり無しね」
「む、ぐぐ。仕方ないですね」
「他の日に都合つけるから、工期が伸びないようにするね」
「そうしてもらえるとありがたいな」
こっちはオッケー。
あとはミントの予定だな。
たしか、ミントは聖女さんと一緒に何かするって言ってた気がする。
たぶんなんとかなる。
あ、忘れていた。
もうひとりのことを。
「そういえば、村娘さんって、今どこにいるのかな?」
「それならば」
パンパン。
伯爵が気持ちいい音がする拍手を2度叩く。
すると部屋の奥の扉が開いて、そこから村娘が登場する。
伯爵さん、なんとも、用意が良いことで。
「こんにちは。大魔導士様」
「はい。こんにちは」
いきなり、大魔導士って、伯爵の真似して言ってくる。
ずいぶんと頭の回転が良い娘なんだな。
「ミントさんには、そなたから伝えてほしい」
「もちろん、そのつもりです」
「明日は、こちら側は、私と魔法関係の連中が参加する」
「はい、了解しました」
なんだか、話がでかくなっていく気がするな。
本当に大丈夫なのか。
あまりの速い展開に、ちょっとだけ心配になってきた。
このままではR15がついてしまうのでは、と作者は心配です。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。