第148話 伯爵様の夢
「ただし、大きな問題がある」
「なんでしょう」
「今はまだ、農業に土魔法を使えるのが、貴殿しかいないということだ」
あー、そこか。
今はまだ、大きな問題にはならないだろうと先送りしていたけど、伯爵様は先読みするな。
「もし、畑に対して土魔法を使って収穫が上がるなら、それを我が領土、いや、この国全体、さらに言えば帝国の隅々まで広めたいと思っておる」
「うわっ、すごい話ですね」
つい、軽い口調になったら、街長に、にらみつけられてしまった。
やばい。気をつけないと。
「すごいのは、そなたの魔法だ。帝国の未来を作るかもしれないぞ」
「そんな大げさな」
でも、本当に土魔法を使って収穫があがるとなり、帝国の隅々までその方法が普及すると何が起きるのか読み切れない。
「今、我が領地は活況を呈している」
「はい。その様ですね」
「主な理由は、鉱山の開発がうまく行っているのと、西方の国々との貿易だ」
「はい」
伯爵様はやり手の様で、鉱山開発をしっかりやりつつ、商人のために必要なサービスをしっかりとサポートしている。
そのことは、街で聞く話でだいたい想像がついていた。
「だけど、どちらも限界がそのうち訪れる。それがこの地の食糧問題だ」
そのことは、すでに街で経験した。
街が拡張すると決まっただけで、食料価格が高騰するという形で。
それだけ食料がひっ迫していね証拠だ。
「その問題を解決するひとつのカギが土魔法なのだ」
「はい。可能性はありますね」
「そこで問題になるのが、土魔法をしっかりと使える者がほとんどいないということだ」
そうなりますよね。
この街の近辺の村くらいなら、なんとかならないことはない。
だけど、伯爵様のすべての領地、さらには帝国の隅々と言われたら、私一人でできることは限られてしまう。
「そこで土魔法を使える者を増やすことを計画しているんだが。協力してもらえないだろうか」
「それはもちろんです」
学校を作るのだろうか。
それとも、すでに魔法を習得している魔導士に土魔法を教えるのか。
どちらだろう。
「うちの魔導士に聞いたところ、面白いことを言っておったのだ」
「それは?」
「土魔法なら、少女が一番だというのだ」
えっ、少女?
なんで?
土魔法は一番ベースになる魔法だというのだ。
そもそも、人間自体が動物として見ると土属性を持っている。
だから、一番魔法感度が高いときに、ある種のトレーニングを行うことで魔法の基礎が身につくという。
魔法感度が高いのが、子供が大人になる時期、12才から15才の間。
それも、男の子より、女の子の方が感度が高くなりやすい。
だから、少女にある種のトレーニングをすると土魔法の基礎ができてしまう。
「ミントは、そなたの愛玩奴隷だと聞いたが本当か?」
「あー、そうとも言えるし、そうじゃないとも」
「はっきり、答えよ。ミントとセックスをしているな?」
うわっ、なんでそんな話になるのよ。
土魔法の話じゃないのかよ。
言いどよんでいると、街長ににらまれてしまった。
「はい。しています・・・」
「もう、ひとり。実験畑の村娘の一人もセックスしたであろう」
「・・・はい」
なんで、そんなこと知っているの?
ふたりだけの秘密なのに。
「うちの魔導士によると、ある種のトレーニングとは魔素の循環が起きているときに身体を接すること、と言う」
「はい」
「要はセックスをしていると、ある種のトレーニングと同じ効果になると言っておった」
うわっ、そんなことが。
すると、ふたりは土魔法の基礎トレーニングができてしまっているということ?
「でも、ミントは土魔法は使えませんよ」
「やり方を教えてはいないであろう。教えれば簡単に使えるようになるぞ」
「どうして、そこまで分かるんですか?」
「ちゃんとライブの時にうちの鑑定師に鑑定させておいた。あと、村娘もな」
あー、それでバレたのか。
エッチしてしまったことが。
「協力してほしいのは、土魔法の潜在能力がありそうな少女に、特殊トレーニングを施してほしいということだ」
えっ。
それって・・・伯爵様の命で、少女とセックスしなさいってことですか?
参ったなぁ・・・というより、嘘でしょ。
それはまずいでしょう・・・どうするの?
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
ブクマと評価もよろしくです。