第136話 リーダーの天使
「予算なんですけど、金貨で450枚あります」
「それはそれは。なかなか貯めましたね」
「はい。無駄遣いを一切やめて貯めました」
そういえば、最近付き合いが悪いって、冒険者仲間が言ってたな。
すぐに帰ってしまって、奥さんが怖いのかな、って。
「それでは、どんな天使がお望みか教えてください」
リーダーは懐から紙を出すと、それには望む条件が書いてあった。
「えっと、どこまで条件を言っていいものか、迷うんですが。望んでいることをすべて言っていいですか?」
「はい。すべてを叶えられるとは言えませんが、要望に一番近い天使を紹介します」
「では」
リーダーが伝える条件って、「それってミントじゃない?」って思ってしまう。
やっぱり、ミントみたいな天使が欲しいっていうんだね。
「最後の条件が巨乳です」
えっ、そんな条件付け加えるの?
ミントは巨乳じゃないから、ちょっと違和感。
ミントみたいでただし胸だけ巨乳ってか。
ロリ巨乳系だったのか、リーダーは。
「どうでしょう。いますか、そんな天使が・・・」
「ええと。いることはいるんですが」
「えっ、いるんですか」
言おうかどうとしようか迷っているダンディさん。
「その条件に8割以上ヒットしていまして。ただ・・・」
「ただ?」
「金貨600枚、必要なんです」
うわっ、150枚も足りないのか。
それは、あきらめないとな。
「お願いです。その天使に会わせてください」
「えっと。会わせるのはいいんですが。予算が足りないなら会わないほうがいいと思いますよ。つらくなりますから」
「大丈夫です」
「どうしてですか?」
「この人が貸してくれます」
ええーーっ。
そんな話聞いてないよ。
いきなり金貨150枚貸してって。
なんの相談もなく・・・それはないでしょっ。
「とにかく会わせてください」
「では、分かりました。お呼びしますね」
ダンディさんが一度、奥の扉に消える。
しばらくして、ひとりの少女を連れてくる。
あ、ちょっとミントに似てる。
だけど、もうちょっと明るい感じかな。
笑顔がかわいいね。
そして、一番違うのは巨乳ってこと。
「ラベンダーさんです。どうでしょうか」
「気に入りました!」
「そうでしょう。条件を聞いていて、ラベンダーさんしかありえないと思ってました」
「ズバリです」
「ラベンダーさんは今、15歳と3カ月です」
若いな、と言っても、初めて会ったミントはもっと若かったか。
リーダーのあの顔、ダメだな。
金貨150枚用意しておこう。
「リーダーさんだけこちらへ。ラベンダーさんと一緒にどうぞ」
あ、ふたりだけの部屋が懐かしいな。
あそこでミントともふたりきりになったんだっけ。
そのあとずいぶんと待たされたけど、結局リーダーに金貨150枚を貸してあげた。
引き取りは2日後のパターンでミントみたいにすぐに連れていけないらしい。
残念そうなリーダーを連れて『愛の天使』を後にした。
リーダーも天使持ちに。ミントにちょっかい出しそうだったから、よかったね。
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