第123話 双子の少年
「なんだ、大したことないね」
青い髪の少年が言う。
「だいたいがさ。魔法使いなんてそんなものさ」
緑の髪の少年が答える。
ふたりは全く同じ顔をしていた。
13歳くらいの少年に見える。
少年アイドルと言ったら、「そうだね」と言われるような整った顔。
笑っていると、年上の女性なら「かわいい」って言ってしまう感じ。
だけど、ふたりきりのときは、笑っていないから、かわいいどころか不気味だ。
「どうする今日、片づけてしまう?」
「そうだね。あっさり終わらせて、尊主に喜んでもらおう」
ふたりは、にやりと笑って、準備にかかった。
「ね。お兄さん。魔法使いなんだよね」
「すごい魔法使えるんだよね」
いきなり声を掛けられてびっくりして振り向くと、青髪の少年と緑髪の少年のふたりがいた。
「あれ?君たち、双子?」
「「そうです」」
見事にハモった。
双子って面白いな。
「魔法に興味あるのかな?」
「「うん」」
そうだなぁ、街中だとあまり魔法使うと迷惑だから、街を出て広い所で魔法を披露してあげようか。
「魔法、見てみたい?」
「「みたぁーーーい」」
かわいい顔の双子の少年にリクエストされちゃしようがないな。
みせちゃおうかな。
「じゃ、ここだと魔法使えないから、街の外に行こう」
「「はい」」
先に歩いていると、双子はなにやら、内緒話をしている。
きっと、どんな魔法なのか、予想でもしているのかな。
「ね。魔法使いのお兄さん」
「なにかな?」
「魔法って使えなくなることないの?」
「ないよ」
本当は一度だけあった。
青龍さんが土魔素を全部もっていってしまった時。
まぁ、そんなことは普通ないから、ない、でいいよね。
「そうなんだ。じゃあ、無敵なんだね」
「そうかな」
「そうだよ、いつでも魔法使えるんでしょ」
「それほどでもないけどね」
その答えを聞いて、双子は嬉しそうに笑う。
ふたりで話しているから、なんで笑うのかちょっとわからないけど、楽しそうだからいいか。
少年の頃ってやっぱり、魔法とか興味持つんだろうなぁ。
この世界で意識が戻ったときは、20歳だったから、少年時のことはわからないけど。
「まだ?」
「もうちょっとで街の出口だからさ。あそこを出たら、魔法をみせてあげるね」
「「うん」
東門にいる番人におっさんに声をかける。
「おや、お出掛けかい」
「ええ、この子たちが魔法を見たいって」
「これはいいな。坊主たち、このお兄さんの魔法はすごいぞ」
「「はやく見てみたいなぁ」」
見事にハモるから、番人さんも笑っている。
こういう楽しい気分は久しぶりかも。
最近、お仕事しすぎかな。
どうでもいいことが楽しいんだよね。
ふたりを連れて、街からちょっと離れた広場に着く。
ここから、土がむき出しだから、魔法を使っても後で元に戻せばいいね。
「さて、どんな魔法がいいかな」
後ろで双子がいやらしい笑いをしているとは全く気付いていなかった。