第112話 ミントの誕生日の準備をしてみる
「すいません。買い物に付き合ってもらって」
「いえ、いいんですよ。ミントさんには私も助けてもらっていますから」
今、街の服関係のお店が立ち並ぶあたりにきている。
一緒にきているのは、聖女さん。
なんだかんだ言って聖女さん、センスがいいんだよね。
元々、聖女だから煌びやかな恰好なんてしていない。
普段着でも白をベースにしたシンプルな服装だ。
でも、小さなアクセサリーをしていたりして、それがすごく似合っている。
こういう、小技を使える女性はファッションセンスもあるんじゃないかと思って買い物に付き合ってもらった。
「ミントさんなら、かわいいバックなんてどうかしら」
「あ、それいいですね。まだ布の袋ですからね」
ミントは最初に渡した布の袋を持ち歩いている。
年頃の娘なのに、それはどうかと思う。
「このうさぎの毛皮のバックなんて、似合いそう」
「でも、小さくないですか?」
「いいのよ。女にとって、バックは実用性よりファッションなんだから」
「そういうものですか?」
ちょっと納得できないけど、反論なんてもっとできない。
だけど、このふわふわ感は、たしかにミントに似合いそう。
「喜ぶと思いますよ、ミントさん」
「そう思います、私も」
プレゼント用に綺麗な箱に入れてもらった。
やっぱりプレゼントらしさは必要だよね。
「しかしまぁ。このあたりには初めて来たけど、すごいですね」
「ええ、ここは女の聖地ですから」
「聖女さんが聖地なんて言っていいんですか?不遜じゃないのかな」
「聖女の前に、ひとりの女性ですから」
洋服、アクセサリー、バック、帽子、ベルト、靴。
とにかくありとあらえる女性を着飾る品々がならんだお店が通りの両方にずらっと並んでいる。
きっと、ここで売られる商品はこの街の経済を左右する金額なのだろう。
このあたりも、土魔法で整備したら、もっといいストリートになると思う。
なんなら、ストリートを2階建てにして売り場面積を2倍に増やす、なんてこともできるな。
店は2階建てが一番多いけど、2階はお店ではなく住居になっている。
そこも活用したら、もっとにぎやかなストリートにできるんじゃないか。
おっと、今日はそういう意味でここに来たんじゃなかった。
ミントのためだ。
買い物が終わったから、さっさと帰ろう。
ここは、ここで。
きっと多くの男女を破産に導いた魔物が住んでいるに違いない。
祝!ミント15才
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