第111話 龍神さんは水神様
「あとは、水の問題ですね」
「ええ。このあたりは雨がしっかりと降るから、豊作の年が多いんじゃ。だが、雨が少ない年はどうしてもあってな」
村長さんに畑の土壌改良を見てもらったあと、水問題を話してみた。
川から水を引き込み用水路って方法もあるけど、もっとシンプルなのにしよう。
村の畑の分布からみて、中央にあたる場所に来た。
「ここに、祠を作りましょう」
「祠ですか?」
龍神さんの祠。
やっぱり、水と言えば龍神さんです。
ちょっと、ミントを呼んでこないと。
「ん?ミント、どうした?」
ミントがあまり浮かない顔をしている。
「昨日、どこで寝ていたんですか」
「あ・・・まぁ、いいじゃないか」
「・・・・」
バレているみたいだな。
もっとも、立場からすると、文句を言えるはずもない。
「愛の天使」だから。
「龍神さんに、ここの地を守ってもらいたいんだけど」
「はい。きっと喜びますよ。ちゃんと祀ってもらえれば」
ミントの意見をもとに、祠の位置を決める。
龍神さんと繋がっているから、龍神さんの意見でもある。
土魔法で青龍の形をした像を作って、それを囲う祠も作る。
「ここに龍神様の御魂を呼びましょう」
ここは土魔法ではなく、ミントの出番。
龍神様の御魂を呼ぶ舞を踊る。
このために、ミントはメイド服ではなく巫女服で来ている。
「何度見ても、ミント様の舞は素晴らしいですな」
「ええ。街でも大人気でして」
舞がクライマックスを迎える。
黒い雨雲が立ち込めはじめ、風が起き始める。
ミントがのけぞりポーズでゆっくりと後ろに倒れた。
天空より光が注ぎ、祠が光りだす。
「おおー。龍神様のご降臨じゃ」
これで大丈夫。
龍神様と村は繋がった。
あとは、毎年、季節の区切りにちゃんと祀りごとをすればいい。
元々祭り好きな村だから、大丈夫だろう。
ミントが立ち上がり、ニコニコしながらこっちに来る。
「龍神様、喜んでおられました」
「ありがたや、ありがたや」
これで水問題は心配ないだろう。
水問題は神様まかせ。ファンタジーならではの解決法だね。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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