第110話 畑のことに詳しくなりたい
一番の村の悩み、開墾に関しては昨日、解決してしまった。
だけど、もっと村の置かれている状態を詳しくしりたい。
そう思ったきっかけは、村娘だったりするけど、村のためになるとをしたいというのは本当のこと。
だから、まずは村の経済の中心、畑のことを勉強することにした。
教えてくれるのは、農作業35年のベテランの農業爺さん。
「ほら、ここが村で一番収穫が多い畑じゃ」
「ここが、ですね」
《土壌分析》
「さすがにいい土ですね」
「だろう。近くの森から土もってきているんだよ」
だからこんなに有機物の比率が高いのか。
あとミネラルも多いな。
土を分析する場合、土に含まれる水分と空気も分析する。
この土は、水と空気の含有率がずいぶんと高い。
森の土の保水効果と、細かな手入れによる空気含有率がポイントのひとつだろう。
「他の畑も、こんな土になると収穫あがるでしょうね」
「そうだがな。簡単にできることではないぞ」
そうでしょう。そうでしょう。
あるべき畑の土の状態は分かったから、再現に努めてみよう。
まずは森の土だな。
どんな森の土がいいのか、農業爺さんと一緒に森周りしてみよう。
「わしが土を持ってくるのは、この森じゃ」
「ずいぶん、土がふかふかしていますね」
「そう。それが選ぶポイントなんじゃ」
うん、わかるぞ。
あんまり土を取りすぎると、森にも影響が出ては困るから、もっと他の森も見てみよう。
「ここのも、良い土じゃ」
「そうですね」
だいたい、どんな森がいいのか、わかってきた。
森の土を使う場所をマーキングして廻ろう。
《場所ポインティング》
これで準備オッケー。
さぁ、土づくりやるぞぉ。
もちろん、土魔法的にね。
「ここの畑はダメじゃな。もっと森の土を持ってきて、耕し方も足りん」
「そうですよね。私もそう考えました」
「まぁ、あと10年もしたら、良い土になるかもしれんがな」
「そんなこはないと思いますよ」
《ポイント1:表土採取:土移動》
まずは、森から土を持ってきてっと。
距離があるから、ちょっとかかりそう。
10分くらい待たないと。
「なんじゃ、あの黒いのは?」
「森の土です」
「なんで動いているのか?」
「きっと、この畑に必要だと感じて、自ら来たんじゃないですか」
「そんなバカな」
農業爺さんが見ている前で、どんどんと山ができていく。
この畑に必要な量は十分ある。
「次はこの山を畑に鋤込んでいけばいいんですね」
「それはそうじゃが、大変だぞ。これだけ広いと」
「そうですか、ぽんっと」
《土混合:鋤入れ》
一人で鋤を使って耕していると、それは時間かかるだろう。
だけど、土魔法は土の魔素自体に命令を与える形だ。
イメージで範囲を決めておくと、そこの土すべて一遍に物事が起きる。
「今度は森の土が畑の上に広がり始めたぞ。うわっ、勝手に土が耕される。それも同時に」
農業爺さんが見たこともない光景にびっくりしている。
どうしてそんなことが起きているのか。
「土魔法っていうんです。土自体がもっている力を使っています」
「すごい」
「土の状態を確認してみてくたさい」
「おおーー、おおーー。これは良い土じゃ、きっと収穫は段違いになるぞ」
うん、成功。
農業爺さんのお墨付きなら、大丈夫だろう。
もちろん、自分で土壌分析をして、爺さんの畑に近くなったことは確認しておいた。
爺さんと魔法の両方でお墨付きがあるから、きっと多くの収穫が見込めるはずだ。
ただ、それだけでは楽しみが足りない。
開墾した畑の一部を借りて、実験をしてみた。
「この畑も爺さんに利用してもらいたいんです」
「もちろんじゃ。何か特別な畑なのか?」
「ちょっと思いついたことがあって魔法を施してみました」
「ほう」
「ただ、それがどういう結果になるか不明ですが」
「それは楽しみじゃの。分かった。一番はやく収穫できる野菜でも作るかの」
「そうしてください」
まぁ、今度ここに来たときの楽しみってことで。
楽しみは多いほうがいいのは決まっているよね。
土魔法だけに土にはこだわりが。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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