第11話 仕事を探そう
街に来たのだから、人のためになる仕事がしたい。
今はまだお金に余裕がある。
だから、無理して働くことはない。
最悪、お金がなくなってきたら、またクリスタルを掘ってくればいいのだ。
一回で数か月分の収入になる。
だから、冒険者ギルドで依頼を受けることはしなかった。
どうせG級だと成功報酬が銀貨1枚の薬草採取とかスライム退治くらいしかないし。
もっと人の為になって感謝されてお金になる割りのいい仕事はないか。
街を歩いて、どんな仕事があるか探してみる。
「オーライ、オーライ」
大きな櫓を組んで、石を持ち上げている職人さん達がいる。
そういう仕事なら、土魔法で手伝えるんじゃないか。
そう思って、聞いてみた。
「お仕事手伝いたいんですが」
「建築ライセンス、あるかい」
「ありません」
「なら、邪魔するな」
うーん。建築ライセンスなんてものがあるんだ。
そんなの取るの面倒くさそう。
街の中を流れている川で泥を掻きあげている人がいる。
「その仕事、儲かりますか」
「ふざけるな。儲かるはずないだろう。金になる仕事があればこんな仕事していないよ」
そうなのか。
転生前の肉体労働はそれなりの収入になった。
こっちではそうではないらしい。
うーん。せっかく土魔法が使えるのに、仕事がもらえない。
困ったなぁ。
やっぱり、魔法使いギルドにいかないとダメかな。
魔法使いギルドなら魔法の仕事を紹介してくれるとは思う。
だけど、魔法使いの人たちってなんか面倒くさい人が多そうだし。
仕事を探して、街をぶらぶらしていたら、農民みたいな人と大工さんみたいな人が言い争いをしていた。
「まだ、やってくれないのか」
「だからよ、忙しいんだって。もっと暇になってからな」
「いつ暇になるんですか」
「そんなのお天道様だってわかりやしねえ」
うーん、いかにも職人って感じだな。
お客さんの都合より、自分の都合が優先するタイプの。
どうせ、この人は当分やってくれそうもないから。
もしかしたら、代わりにやれるかも。
「あの・・・どんな仕事をしてもらいたいんですか?」
「えっ?あ、この親方に頼んでいるのは、小屋の修繕だ」
「お前、大工なのか?俺の代わりにやってあげられるのか?」
どうも、親方は代わりにやっても怒らない感じがする。
「もし、できたら代わりにやってもいいですか?」
「おう。困っているみたいだから、早くやってやりたいんだがな。忙しくてそれどころじゃないのよ」
「では、私が代わりにやりましょう」
「おう。頼んだぞ」
依頼主の意向も聞かずに親方が勝手に決めてしまって、さっさと帰ってしまった。
「あのぅ。大工さんなんですか?」
「大工ではないんですが。なんとかできると思います」
半信半疑ながら、現場に連れていってもらった。
今書いている新作は、実はレンガ屋さんのお話です。
やたらとレンガ積んでいます。
ただ、土魔法が使えないのでひとつひとつ手で積みます。
↓これ。
【外れスキル『予報』が進化したら神級スキル『言ったら実現』って凶悪すぎるんですけど】
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