第102話 メイドアイドルを募集してみた
「でさ。かわいいメイドさんが欲しい訳よ」
「なんと。ミント様だけでは足りないと」
すっかりミントファンを隠さなくなったリーダーが文句を言う。
そういうんじゃないだけどなぁ。
「いやさ。ほら、ミントの巫女舞ってひとりで踊っているけどさ。バックで踊る子たちもいたらいいかなと」
「もしかして、その子たちってかわいい女の子だったり?」
「もちろん、そうさ。ミントも巫女の格好だけじゃ飽きるだろうし。メイド服もいいかなと」
「メイド服でダンス?」
メイドは召使いという常識から抜け出せないリーダー。
巫女さんはアイドルになるけど、メイドはならない。
そういうのは、思い込みだ。
「メイド服と言ってもさ。こんなかわいいのだってあるんだよ」
工房に頼んで作ってもらった、ミント用のメイド服。
かわいいんだから、これ。
「えっ、ミントさん。これ着たりするの?」
「もちろんさ。これを着て踊ったりしたらかわいいと思わない?」
あ、想像しているな、リーダー。
あれ、その顔は、想像が妄想に変わっているじゃないか。
「何、考えているんだよ」
「何って、そりゃあ・・・あ、違うぞ。変なこと考えてなんていないぞ」
語るに落ちたなと・・・まぁ、いいか。
「で、このメイド服にバリエーションを作って、かわいい女の子に着せたいな、と」
「そして、その子たちとメイド服のミント様が踊る」
「いいだろ」
「いいっ。すごくいいっ」
落ちた!
このリーダー、やたらと優秀なんだよね。
冒険だけじゃなくて、イベントとかを取り仕切らせても。
「メイドアイドルのオーディションをしようと思うんだ。審査員やらない?」
「やるっ」
「でもさ、私はあまりこの街詳しくなくてさ。メイドアイドルの候補がみつけられなくてさ」
「俺に任せろっ」
「任したっ」
よしよし。
後は待っているだけで、かわいい女の子が集まってくるはず。
かわいい女の子に囲まれちゃったりして。
なんて呼ばせようかな、この子たちに。
やっぱり、ご主人様かな。
うーん、アイドルだと思うとそれはちょっとだな。
ステージとかでも呼ぶだろうからな。
「すると、あなたはマスターってところですか」
あ、それいい。
マスターって呼ばれたい。
「マスタぁ~。ちょっと相談したいことがあってぇ」
そんな甘え声で言われちゃうと、なんでもかなえたくなってしまうじゃないか。
「それじゃ、準備してきます」
行動早いな、リーダー。
後は任せたぞっ。
だんだんと向かっている方向が分からなくなる罠。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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