第100話 B級昇進おめでとう
「B級昇進おめでとう」
「ありがとう」
女剣士がB級冒険者ライセンスを取得できたお祝いパーティをすると聞いてきたんだけど。
なんか思っていたのとは違う。
普通に居酒屋での飲み会みたい。
それも参加者が私たち3人、私ミントと狼娘以外はリーダーしかいない。
5人だけらしい。
「ね、リーダー。もっと大規模なパーティじゃなかったのかな」
「それがな。くっくっ。招待した人がみんな、たまたま、用事があったらしくてさ」
たまたま、みんな、用事がある訳がない。
強引だからな、女剣士さん。
みんな逃げたな。
「ほら、飲んでよ。私のおごりよ」
「こらこら、あまり飲ませるなよ」
私にどんどんとお酒を飲ませようとしている女剣士。
それを邪魔するリーダー。
「ところで、女剣士さん。これからどうするんですか?」
B級ライセンスを取得すると、冒険者ギルドの扱いが一気によくなる。
その代わりに義務も増える。
強い魔物が現れたりしたときは、強制的に討伐に参加させられる。
「そうなのよね。いままで一緒にパーティ組んでいた連中はまだC級だし。そうだ。リーダーのとこに入れてもらおうかしら」
ぎょっとした顔のリーダー。
そりゃ、嫌だろうな、この人をパーティに入れるのは。
「あー、今はメンバー足りているから。大規模な依頼を受けるときは頼むかもしれないが」
「ええーっ。常時メンバーに入れてよ。いいじゃない。同期なんだし」
なんか、この人、酔っ払っているぞ、すでに。
「こいつ、俺が来る前から飲んでいてさ。すでにできあがっていたんだ」
あー、ほとんどだれも昇進祝いパーティに参加してくれないから、やけ酒のんでいたな。
日頃の行いだと思うけどな。
「まぁ、B級になったんだし。新しいパーティを作ってみたらどうだ?」
「はっ、私がパーティを作るって?なに言ってんのよ、このありさまよ」
確かに祝いの席なのにほとんど来る人がいない。
パーティメンバーを募集しても、集まるとは思えない。
「どうしようかな。別の街にでも行こうかな」
「それはいい考えだ。いろんな街があるから、自分に合う街を探すのもいいぞ」
要はかかわりになりたくないからリーダーは別の街に行ってもらいたい、と。
「そうだ。土魔法使いの達人様。彼女のパーティに正式加入してあげてよ」
「冗談でしょ。私は忙しい身なんですよ」
そんな押し付け合いをしていたら、女剣士さん、しゅんとなってきた。
「あーあ。冒険者もB級になったら、なんか張り合いがなくなっちゃったのよね。それまではB級になるってことで無茶もしてきたんだけど」
確かに。C級なのにB級依頼バリバリ受けていたものな。
その影響を一番受けたのは、私達だと思うけど。
「いっそのこと、結婚してお嫁さんになっちゃおうかな」
リーダーとふたり、目を合わせた。
絶対、ありえない・・・そんな地獄に入りたがる男、想像できない。
そう語り合った。
「誰かいい男いないかな」
地獄でもいいって男ですか・・・心当たりありませんが。
B級になった女剣士さん。あまり幸せそうじゃないですね。かわいそう・・・でもないか。笑
100話になりました。応援ありがとうです。
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