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異世界で迷子になったお話  作者: もち粉
6/6

決闘

「随分と舐められたものだな」


「いや、ほんとすいません」


10分程待たせたせいで、ギルドマスターはだいぶご立腹だった。


闘技場はギルドの裏にあり、それなりに広かった。だいたい、平均的な運動場くらいかな?


「時間にルーズな奴は嫌いなんだ。うっかり殺してしまっても許せよ?」


「死んだら許すも何もないじゃないですか」


「まったくだな、」


そう言うと、ギルドマスターは2mはある両刃の長剣をどうやったのか分からないがスラリと抜いた。

俺はギルドから支給されたそこそこ良さげのレイピアを片手にギルドマスターに対峙した。なぜレイピアかと言うと、普通の剣が重くて、とてもじゃないけど振り回せなかったからだ。

闘技場には、ギルドマスターに喧嘩を売った新人がいるという噂を聞いて集まって来た暇人が何十人か居た


「では、始め!」


レフェリーのようなおっさんが試合開始の合図を出した。


「貴様からかかってくるがいい」


マスターは余裕の表情で先制攻撃を譲ってくれた。これほどありがたいものはない。


ここで、自分のステータスを振り返る。

たしか、筋力は比較的低くて、技量系統の魔法寄り、そして運の表記がおかしかった。

つまり、あの運の数値が高くて文字化けしていたのか、低くて文字化けしているのかどちらかと思っていいだろう。

そしておそらく、低くはない。つまり、高いはず


「うおら!」


俺は完全に運任せで闇雲にレイピアを振り回した。もちろん、ギルドマスターは涼しい顔で受け流す。

すると、〝たまたま〟レイピアの刃先に当たった砂が〝たまたま〟ギルドマスターの目に入り〝たまたま〟ギルドマスターの頬に浅い傷を負わせた。

観客席がどよめく

「たまたまだろ?」

「まぐれまぐれ」


まったくその通りだ。俺の読みは当たっていた。それにしてもこの運ゲー、もとい、戦闘はあっけなく終わった


かに思えた


「もらった!」


ギルドマスターの首にレイピアの刃先を当て、戦いを終わらせようとしたその時、


「甘いわ」


ギルドマスターは残像を残し、俺の後ろにいた


「っ!」


ギルドマスターは目を瞑っていても、周りが見えているらしい。とっさに背後にレイピアを回し、長剣の斬撃を受け流そうとするが、激運をもってしても力量差をうめられなかった。

レイピアは虚しく折れ、俺は軽く10mほど飛ばされた。


「ぐぁっ!」


受け身の衝撃で肺から空気が漏れ、視界が揺れる


「降参するか?」


「…まだ、だ」


「根性あるじゃないか、ならば次の一撃で終わらせようじゃないか」


マスターは長剣を上段に構えると何かの呪文を唱え始めた


「これは、まずそうだな、な、にか打開策…魔法とか…あっ、」


ここで、ステータスの一番下に書かれていた、音魔法を思い出した。俺は日本でピアノを習っていたが、それのおかげかもしれない。ただ、今は藁にもすがる気持ちで、脳にインプットされた音魔法を繰り出すしかなかった。


「ーーーーー天烈撃」


なにその最終奥義みたいな技、やめて死んじゃう。

そう思いながら、呪文も唱えず俺が繰り出したのは…


「くらえ!音爆弾!」


ただの音の爆弾。だか、その爆発は尋常じゃなかった。

〝音〟というのは、空気の振動が鼓膜によって感知されて、初めて音として認識される。

つまり、〝音〟とは単純に空気の揺れ、それを限りなく大規模にするとどうなるだろう。

爆発の余波はこちらまで届いた。それにもかかわらず、自分の魔法だからか衝撃はなかった。

ただ、流石はマスター、爆発をくらいながらも技を繰り出してきた。

迫り来る金色の斬撃を、スローモーションになった世界でゆっくり見ていた

不意に、脳内に機械音が響いた


《スキル音魔法、音爆弾の使用を確認。スキルレベルが上がりました。》

《スキル音魔法のスキルレベルが最大になりました。スキル因果調律と融合します。》

《スキル音魔法と因果調律が融合されました。スキル空間魔法に昇華しました》


瞬間、ほぼノーモーションで俺の体は魔法を唱えていた。


「転移!」


瞬時にギルドマスターの背後に移動し、間髪入れずに次の行動。

空間を切り裂き、歪みによるダメージを狙う


「そこまで!」


レフェリーからストップがかかった


「なっ」


抗議の声を上げようとするが、すぐに言葉が詰まった。

ギルドマスターはすでに、さらに俺の背後に立っていて、俺のうなじに切っ先を突きつけていた


「どんな反応速度だよ…」


「貴様も、ただの魔法使いではないようだな。音魔法に空間魔法、後でじっくり話は聞く」


ギルドマスターは剣を鞘に収め、くるりと身を翻し、出口に向かっていった


「我がギルドへようこそ。Cランカーとして自覚をもって行動するように」


その瞬間、会場はドッと湧き、ついでに疲れもドッと押し寄せた。

て言うかCなんだ?まだまだマスターには及ばないらしい。

経験値も入ったらしく、脳内にアナウンスが流れ、目の前にステータスウィンドウが開かれた。


〈Level up!〉

名前.ケン

Lv 16 ↑


HP 5070 ↑

MP 40900 ↑


STR 500 ↑

VIT 100 ↑

DEX 1200000 ↑

INT 50300 ↑

LUK →2×$6*5」<5+・々9×95」|5 ↑


⚪︎特技

隠蔽Lv.10

ポーカーフェイスLv.10

不屈の精神Lv.4


⚪︎魔法

空間魔法Lv.5



どうやら、インフレ式のチートらしい

いやぁマスター強いですねぇ

まぁでも私的にマスターの攻撃を見切って試合を終わらせたレフェリーの方が衝撃的でした

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