ルフィシアへようこそ
「おぉ、案外広い…」
ルフィシア王国はすり鉢状の国で、門の向こうには、東京ドーム9つはありそうな広大な土地があった。中心に向かって段々地面が下がっていて、綺麗な正円だった。国の中心にはお城のような建物もあった。
「私の宿、直ぐそこですの!さぁはやく!」
「ちょっとまってよ!」
「服が濡れて重い…」
金髪美少女を追いかける2人の男、しかも1人はびしょ濡れ。完璧な犯罪現場です。
ルーンベルを追っていると、武器屋や本屋、薬屋などがある商店街を見つけた。ここで気付いたが、どうやらここの世界の言語はルーンベルや門番と会話したことで、理解できるし話せていることが分かり、看板を見たことで読めることにも気付いた。
この商店街には後で来ることにしよう。
さらに走っていると、ルーンベルが木造の、ログハウスのような2階建ての建物の前で止まった。
「ここが、私の両親が経営する宿屋、猫猫亭よ!」
「猫猫って、猫でもいるの?」
「いいえ、いないわ。ただお父さんが猫大好きなだけよ。」
「なんだそれ…」
「早く入って!」
言われるがまま中に入ると、中々立派な作りの内装は、豪華でいて落ち着いていた。
「いらっしゃ…おお、おかえりルーンベル早かったじゃないか。おや?そちらの御仁は?」
そして中々ダンディーな男性が、低い良い声で出迎えてくれた。どうやらルーンベルの父親らしい。
俺たちは自己紹介をして、一晩泊めてほしいと頼んだ。
「ハッハッハッ、かまわんよ。娘を助けてくれたお礼だ。一晩と言わず、冒険の体制が整うまで泊まっていってくれたまえ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「ラッキーじゃん」
「では、ギルドカードを見せてくれ。」
「へっ?」
「もってましぇーん…」
「えっ?あなたたち冒険者なのにギルドカードも持ってないの?」
「そもそもギルドに行ったことがないな」
「ギルドカードって絶対いるの?」
「むぅ、仕方ないですな、今回はギルドカードはいりませんが、この国の施設は大抵身分証明書が要るのですよ。今晩はもう暗いですし、是非明日ギルドに行ってみてはいかがかな?」
「はい。そうします」
「ギルドって言われると、完全にRPGだよなぁ」
「シマさん何か言いました?」
「いや、なにも」
「あのぅ、ギルドってことは、他の冒険者もいるのですか?」
「えぇ、もちろん。しかし国の外から来られた冒険者の方は久しぶりですなぁ。かれこれ数年は見てませんな。もしかしたら、ギルドマスターと会えるかもしれませんぞ」
「ギルドマスター?」
「強いの?」
「はい。それはもう。ギルドマスターは国のお抱え騎士団の成績優秀者から選抜されます。しかも今のギルドマスターは歴代の中でも優秀だとか。確か名前は…マスタング、でしたな」
「マスタング…」
「そういえば、おやっさんの名前聞いてませんでした」
「これはこれは、私としたことが、失礼しました。私の名前はカルスト。カルスト=ファーブルと申します。」
「私はルーンベル=ファーブルよ」
「なるほど。カルストさんこれからよろしくお願いします」
「マー◯ルってお菓子あったよな」
「えぇ、よろしくケン、シマ」
「マー◯ル?美味しいのですか?そのお菓子」
「これ、ルーンベル。そろそろ寝る時間だよ。ケンさんもシマさんもそろそろ消灯の時間です。これがあなたたちのお部屋の鍵です。どうぞごゆっくり」
「ありがとうございます。では」
「おやすみルーンベル」
「ええ、2人ともおやすみ」
渡された鍵は、1つでした。
うん。つまり
「ぐおおおおおおおおおおお、ぐるるるるふぁああぁぁ」
「うるせええええええうおおおおおわあああ」
シマのいびきのせいで、朝まで眠れませんでした。はい。
今回は伸ばし回ですね
次回から異世界転生っぽいことしていくつもりです