2話 新たなる協力者
あの会合から、数日。凉音の元に一本の電話が入った。相手は百合だった。
〈あの…、捜査は打ち切りになったんですけど、協力して下さってる刑事さんがいて…。やっと、都合がつく日が取れたみたいなんで、その日に逢っていただけたらなあ…って〉
普段は冷静沈着な凉音もポカン、と口を開けて(そういうことは早く言えや!)と心の中でツッコミをした。
その刑事さんとさらにもう一人、協力者がいるらしいのだが、その協力者が空いている日が明後日だという。なので、明後日、その協力者が経営する診療所に来て欲しい、というのが電話の内容であった。
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当日。若干、イライラしながら凉音は助手の美奈を連れて診療所に向かっていた。依頼を引き受けたからには、依頼人がちゃんと納得するような形になるまで仕事をするがモットーの凉音だが、刑事さんがいるなら別に何もこっちに依頼をしなくても、と思ったのだ。少々、彼女はめんどくさがり屋なところがあるのだ。彼女のいささか積極性に欠けるのはこれも関係しているかもしれない。
ちなみに電話口の相手である百合に向かって静かに美奈はキレることはなかったが、「依頼を引き受けたからにはしっかりやりますけど、そちらがちゃんと情報提供して下さらなきゃ困るんです。わかりますよね?」と笑顔で言ってのけた。Sっ気だけではなく、腹黒気質も兼ねているのでは、と凉音は思った。
診療所の「定休日」と書かれた札が吊るされているドアをノックした。すると、「どうぞ、お入り下さい」と中から返事がきた。
扉を開けると、先日会った木更津 百合と、白衣を着たおっとりとした雰囲気の男性、そしてスーツを着た男性―多分、この人が百合の言っていた「刑事さん」だろう―が立っていた。
「…おとといは、すみませんでした。片岡さんの言う通りですよね…。引き受けて下さるかわからなかったので、言わない方がよいのかと思って敢えて言わなかったのですが…。本当に、すみませんでした。」
開口一番、彼女はそう、謝ってきた。
「まぁまぁ、こんなところで話をするのもあれだし、自宅のリビングに案内するよ。この診療所は僕の自宅と繋がってるしね。ついてきて」と言った白衣を着た男の言葉に従いついていった。




