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リヴスコール

レビュー執筆日:2018/12/26

●THE BACK HORNのあらゆる面を切り取って一つにまとめた集大成。


【収録曲】


1.トロイメライ

2.シリウス

3.シンフォニア

4.グレイゾーン

5.いつものドアを

6.風の詩

7.星降る夜のビート

8.超常現象

9.反撃の世代

10.自由

11.世界中に花束を <New Recording>

12.ラピスラズリ

13.ミュージック


 THE BACK HORNというバンドのイメージは人によって結構違うのではないでしょうか。ライブやフェスでよく演奏される『コバルトブルー』や『刃』のような歌謡性の強い疾走感のあるナンバーのイメージが強い人もいるかもしれませんが、それ以外にも抜けの良い爽やかな楽曲があったり、テンポを落としたバラードがあったり、はたまた狂気を感じられる曲があったりとその作風は様々です。また、アルバム単位で見ても作品ごとに趣向が異なっており、どのアルバムが好きかで彼らのイメージは大きく異なってくるかもしれません。


 そんな彼らのメジャー9thアルバムとなる今作は、そういった様々なファン層に応えたものになっていると言えるでしょう。『シリウス』や『シンフォニア』のようなライブ映えしそうなアップテンポな曲はもちろんのこと、穏やかなイントロと加速するサビが特徴的な『トロイメライ』、自身の鬱屈とした感情を吐き出すような『いつものドアを』、東日本大震災を受けて制作されたロックアンセムとでも言うべき『世界中に花束を』、そして、マーチ風のドラムがエンドロールを想起させる『ミュージック』とあらゆる方向性の楽曲が収録されており、これまでの彼らの集大成と言える内容になっています。


 「集大成」と言えば、以前、三作前のオリジナルアルバムである『THE BACK HORN』をレビューした際にもそういった言葉を使いましたが、少しまとまりに欠けるところがあった『THE BACK HORN』と比べて今作は曲順がよく考えられており、一つの作品としての完成度が高くなっているように感じました。また、東日本大震災の影響もあったのか、『世界中に花束を』のみならず『トロイメライ』や『シリウス』、『ミュージック』等、悲しみを背負いながらも前に進んでいく姿を描いた曲がアルバムの「核」として存在し、それがアルバムとしての一体感をより一層際立たせています。


 ただし、これまでの集大成と言えども、随所に新しいチャレンジが施されているのも見逃せません。『シリウス』では三拍子のリズムで焦燥感が上手く表現されていますし、『星降る夜のビート』ではファンキーなリズムと激しいギターが入り混じった独特なサウンドが印象に残ります。このようにして単に過去作の焼き直しにならないようにする手腕は流石と言えるでしょう。


 個人的にはこれまでの彼らのアルバムの中では最高傑作と言える本作。作品としての軸をしっかりと確立させながらも、多彩な楽曲でリスナーを飽きさせないという「アルバム」として理想的な形がここに体現されているのではないでしょうか。


評価:★★★★★

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