THE BACK HORN
レビュー執筆日:2018/11/28
●相変わらずバリエーション豊かだが、少しまとまりに欠けるか。
【収録曲】
1.敗者の刑
2.ハロー
3.美しい名前
4.舞姫
5.フリージア
6.航海
7.虹の彼方へ
8.シアター
9.負うべき傷
10.声
11.理想
12.枝
THE BACK HORNのメジャー6作目となる今作のジャケットには、メンバーが深刻そうな面持ちで写っていますが、作風自体はそこまで暗いというわけではありません。(前作のレビューでも似たようなことを書きましたが)もちろん、重苦しい音像が特徴的な『敗者の刑』や「生きながら腐るだろう」等といった歌詞が特徴的な『フリージア』のようなダークな作風の曲もあるのですが、『美しい名前』のように悲しげなバラードや、『ハロー』や『航海』、『理想』のように明るくどこかキラキラした雰囲気をまとった曲、『声』のようにアップテンポでメッセージ性の強い曲に、『シアター』のように全体的にまったりした感じの曲とここ数作の彼ららしい多彩なナンバーが約1時間に渡って繰り広げられています。
しかし、前作や前々作のような「曲順の妙」が今作からは感じられません。ダークな『敗者の刑』と希望に満ち溢れた『ハロー』が並んでいたりと、アルバムの流れという点において少し不自然な箇所が見受けられ、バリエーションが豊富であることも相まって、アルバムとしてまとまりに欠けるところがあります。今作はセルフタイトルであることから、もしかしたら「これまでの集大成」のつもりで様々なタイプの楽曲を詰め込んだのかもしれませんが、もう少しアルバムとしてのバランスを考えてほしかったと思います。もちろん、一曲一曲は充分にインパクトがあり、『美しい名前』や『枝』のように名曲と呼んでも差し支えないものもあるのですが。
評価:★★★★