心臓オーケストラ
レビュー執筆日:2018/11/9
●狂気は抑え目ながらも、しっかりと地に足をつけた印象のある一枚。
【収録曲】
1.ワタボウシ
2.ゲーム
3.涙がこぼれたら
4.夏草の揺れる丘
5.マテリア
6.ディナー
7.夕暮れ
8.野生の太陽
9.世界樹の下で
10.ぬくもり歌
THE BACK HORNのメジャー2作目となる本作。前作はドロドロとした狂気を徹底的に叩き付けるかのようなアルバムでしたが、今作はそういう要素は少し抑え目になっています。もちろん、性的に過激な歌詞の『ディナー』やメリハリのついた演奏で不可思議な恐怖感を醸し出す『野生の太陽』のように前作の延長線上にある曲もあり、退廃的な雰囲気も健在なのですが、今作はそういう中で狂っているというよりも必死で生きる姿を描いた曲が多い印象を受けます。例えば、シングル曲である『涙がこぼれたら』や『世界樹の下で』は力強くメッセージ性溢れる歌詞が特徴的ですし、『夏草の揺れる丘』や『夕暮れ』、『ぬくもり歌』のように哀愁を感じられる楽曲も収録されています。
また、「狂気」が抑え目になったことにより、前作と比べて一発で世界観に引き込まれるようなフレーズが減ったように感じました。しかし、その分バリエーションが増え、かなり尖った作風の前作と比べて聞きやすくなったように思えます。もちろん、前述のようなフレーズが減ったとはいえメロディにインパクトは充分あり、山田将司の激しくも聞き取りやすいボーカルも相変わらずなので、物足りないという印象はありません。良い意味で地に足がついた、そんなTHE BACK HORNが感じられる一枚になっていると思います。
評価:★★★★★