人間プログラム
レビュー執筆日:2018/10/18
●狂気溢れる世界から感じられるTHE BACK HORNの「原点」。
【収録曲】
1.幾千光年の孤独
2.セレナーデ
3.サニー
4.8月の秘密
5.水槽
6.ミスターワールド
7.ひょうひょうと
8.アカイヤミ
9.雨
10.空、星、海の夜
11.夕焼けマーチ
2002年に発売されたTHE BACK HORNのメジャー1stアルバム。現在の彼らにはリスナーを鼓舞させるような力強い楽曲がある一方で、一部のアルバム曲のようにこちらを闇に引きずり込むような狂気溢れる楽曲もあるのですが、今から十数年前に発売された本作はそういった「狂気」で満たされています。今と比べると演奏が粗い面があるのですが、そういう要素がアルバム全体に広がるおどろおどろしい空気を引き立たせるのに一役買っています。特に、冒頭を飾る『幾千光年の孤独』は不穏なギターリフからなるイントロ、叫ぶようなボーカル、アウトロで楽器が暴れ回りギターのノイズで演奏が終わるという展開と得体の知れない恐怖感を煽る要素がこれでもかと詰め込まれています。
さらに、歌詞からもその「狂気」を感じ取ることができます。中には、『幾千光年の孤独』の「やらせろよ あばずれ」や『アカイヤミ』の「母親はまきちらす 部屋中がミルクまみれ」のように過激な表現もあり、ボーカル・山田将司の滑舌の良い歌い方によって歌詞が聞き取りやすいことも相まって、重苦しいサウンドとともにリスナーを激しさと憂鬱さが混ざり合った独特な世界へと一気に引き込みます。
また、このアルバムの聴き所はそういうサウンドの中にある狂気だけではありません。『サニー』や『ひょうひょうと』のように現在の彼らに通じるような力強さを感じられる楽曲もありますし、最後から二曲目の『空、星、海の夜』はこれまで溜まったドロドロとした感情を浄化するような美しいメロディと壮大なサウンドに圧倒されます。また、最後に収録されている『夕焼けマーチ』は不自然なほどに能天気な曲調と歌詞からこれまでとはまだ違った種類の、まるで壊れてしまったかのような狂気を感じられる楽曲となっています。
とはいえ、やはり退廃的な世界に渦巻く狂気を主軸としているため、かなり好き嫌いが分かれる作品となっていますが、近年の彼らの作品しか知らない方はこのアルバムでTHE BACK HORNの「原点」を体感してみてはいかがでしょうか。また、THE BACK HORNを知らない方でもこのアルバムから入ってみるのも「あり」かもしれません。
評価:★★★★★